Helen Hayes Theatre|基本情報

住所: 240 W 44th St, New York, NY 10036(地図
開業: 1912年3月12日
収容人数 597人
座席表: ※クリックして拡大
ヘレン・ヘイズ劇場の座席表

Helen Hayes Theatre 劇場の歴史

ヘレン ヘイズ劇場の旧名称は「ザ・リトル劇場(the Little Theatre)」

開業当時のザ・リトル劇場(the Little Theatre)
1912年3月12日に開業したヘレン・ヘイズ劇場は、演出家ウィンスロップ・エイメス(Winthrop Ames)と建築家ハリー・クレイトン・インガルズ(Harry Creighton Ingalls)、レル・ホフマン(F. Burrall Hoffman)により「ザ・リトル劇場(the Little Theatre)」という名で開幕しました。当時、新しい戯曲の公演を行うにあたり、収容規模が大きいブロードウェイの劇場では、集客数の見込みができずリスクがあったため、ザ・リトル劇場を商業目的ではない新しい戯曲の発表会場として座席数299席の小規模サイズで建築しました。

ザ・リトル劇場の所有者であるウィンスロップ・エイメスは、元々スタジオ建築を専門としていましたが、劇場に居ながら家で劇を観劇しているようなアットホームな会場を建築したいと考え、あえて劇場建築未経験であった建築家ハリー・クレイトン・インガルズとバレル・ホフマンを連れてザ・リトル劇場の建築を行いました。

ニューイングランドの家をモチーフにしたthe Little Theatre

ザ・リトル劇場の建築デザインを手掛けたハリー・クレイトン・インガルズとバレル・ホフマンは、パリ国立高等美術学校(the École de Beaux-Arts in Paris)在学中に出会い、1910年ニューヨークに移住する際にビジネスパートナーとなり、以降は共にスタジオや住居地の主に建築デザインを手がけました。

インガルズとホフマンによる建築デザインは、赤いレンガと黒い短いレンガが交差するフランス積み様式(the Flemish Bond Style)を用いたニューイングランドの家をモチーフに、一等間隔の格子付きの窓と鉄製のバルコニーの設置しました。
ニューイングランドは、アメリカの中で最も歴史の古い北東部の6つの州(コネチカット州、メイン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ロードアイランド州、バーモント州)を意味しますが、1776年のアメリカ独立宣言が発表されるまでイギリス植民地の中心だった事で有名です。この地方の街並みは「ニューイングランド様式」と呼ばれるイギリスからの移民によって建てられたヨーロッパ風建築が多く存在し、コロニアル様式(※)の代表的住宅様式の1つとなります。
※コロニアル様式(Colonial)は、アメリカがイギリスなどのヨーロッパ植民地であった時代の建築や家具の形式を指し、語源は「植民地」を意味した英語:コロニー(Colony) またはスペイン語:コロニア (Colonia)から由来しています。

フェデラル(Federal style)装飾の一例
内装には、一般的にアダム様式(Adam style)として知られているフェデラル様式(Federal style)を使用し、ヨーロッパ風の気品で優雅な造りを装飾しました。
アダム様式は、18世紀に流行したイギリスの伝統的な新古典主義(Neoclassical Architecture)をもとに、細部まで凝った彩色装飾と、スタッコと呼ばれる大理石に似た塗り壁材料を組み合わせた装飾様式を用いた室内装飾です。

フランス積み様式(the Flemish Bond Style)

フランス積み様式(the Flemish Bond Style)
レンガ造りの壁には、外からのに圧から守り建物の構造を安定するための様々な壁構造方式が存在します。ザ・リトル劇場が使用しているフランス積み様式は、一段に大小異なる大きさのレンガを交互に積む方式で、色が鮮やかなのが特徴的です。

日本でも明治時代初頭に多く使用されていましたが、明治後期以降は、段ごとに長手、もしくは小口の大きさを揃えたレンガを積んだ「イギリス積み方式」が主流となりました。

劇場建築家ハーバート・クラップのよる増築で劇場拡大

開業後、ヒット作品を生み出すも、収容人数が少なかったザ・リトル劇場はなかなか売上が伸びず、1915年発売のニューヨーク・タイムズ紙で「所有者ウィンスロップ・エイメスの家まで売りに出されるだろう」と記事が出るほど経営悪化が続きました。そこで、ウィンスロップ・エイメスは、1920年に数々のブロードウェイの劇場の建築デザインを手がけてきたハーバート・クラップ(Herbert J. Krapp)に劇場の再建築を依頼し、座席の増加とバルコニー席を設け、収容人数を597席まで拡大しました。それでも、拡大後の収容人数は、現在ブロードウェイに存在する劇場の中で最も少ない収容人数となっています。

ニューヨーク・タイムズが買収した後はABC局とCBS局のスタジオとなる

1942年に、ザ・リトル劇場はアメリカで新聞発行部数の第3位を誇るニューヨーク・タイムズ(The New York Times)に買収され、会議場として「ニューヨーク・タイムス・ホール(New York Times Hall)」という名で活動しますが、1959年からは、アメリカのテレビ会社ABCスタジオ(ABC television studio.)が主催する番組「マーヴ・グリフィン・ショー(The Merv Griffin Show)」のスタジオとして、また兼用して放送局CBSによるラジオスタジオしても使用されていました。ちなみに、同時期にコート劇場(Cort Theatre)でも同番組の撮影が行われていました。

The Marriott Marquis Hotel建築のために取り壊し、引越し

ザ・リトル劇場が取り壊される様子
1979年にザ・リトル劇場は、演出家のマーティン・マーキンソン(Martin Markinson)とドナルド・ティック(Donald Tick)によって、当時の約8,000万円で買収されますが、マリオット・マーキースホテル(The Marriott Marquis Hotel)建築にあたり、劇場の取り壊しを余儀なくされた劇場は、1982年に現在の所在位置(44丁目の7番街と8番街の間)へと移りました。再建築した劇場は、ニューイングランドの家をモチーフにした劇場の外見を再現し、座席数も597席のまま当時のザ・リトル劇場を復元する形で完成しました。

翌年の1983年に、アメリカの名女優ヘレン・ヘイズ(Helen Hayes)への敬意を表して劇場名を「ヘレン ヘイズ劇場 (Helen Hayes Theatre)」に改名します。由来となった女優ヘレン・ヘイズ・ブラウンは「ブロードウェイのファーストレディ(First Lady of the American Theater)」の愛称を持ち、5歳で初舞台、9歳でブロードウェイへ進出し、エミー賞(Emmy Award)、グラミー賞(Grammy Award)、アカデミー主演女優賞やアカデミー助演女優賞を受賞、また第1回トニー受賞式ではノミネート、後に3回に渡ってトニー賞受賞を獲得した名女優です。

更なる活躍に向けて生まれ変わるヘレン ヘイズ劇場

現在のヘレン ヘイズ劇場 (Helen Hayes Theatre)
2008年にヘレンヘイズ劇場が売りに出される事が公表され、2015年4月18日に劇場取引額$24.7億ドル(当時約27億円)で非営利団体「セカンド・ステージ・シアター(Second Stage Theatre)」へ売却しました。同年に公開したミュージカル作品「三十九夜(The 39 Steps)」では、トニー賞授賞式演劇照明デザイン賞を受賞、3部門でノミネートを受賞を獲得し、2018年2月現在、ヘレンヘイズ劇場は、3月から公演予定のミュージカル作品「Lobby Hero」のために階層工事となり、映画「キャプテン・アメリカ」などで有名なハリウッド俳優 Chris Evans 主演で注目が集まっています。

運営会社「セカンド・ステージ・シアター」による再リニューアルは、建築家デイビッド・ロックウェル(David Rockwell)率いるロックウェル・グループ(Rockwell Group)が建築デザインを担当し、当時のヘレンヘイズ劇場の外見を残しつつ、現代風のモダンでシックなデザインを取り入れ、ドレスルームやお手洗いの拡大、また、エレベータの導入に併せて車椅子専用の座席を確保すると共に、全面的にバリアフリーを取り入れた構造となります。
ロックウェル・グループは、トニー賞受賞経験のあるデイビッド・ロックウェルが1994年に設立、主に建築とプランニングデザインなどを手掛けるデザイン企業として、メットライフ・スタジアムの建設や多数の有名企業の建築にも携わっている有名建築企業です。

運営会社「セカンド・ステージ・シアター(Second Stage Theatre)」

ヘレンヘイズ劇場の現在の所有者である団体「セカンド・ステージ・シアター(Second Stage Theatre)」は1979年に設立、オフ・ブロードウェイ劇場運営会社として、新人劇作家による現代のアメリカ演劇や新演劇の制作を手掛けている非営利団体です。セカンド・ステージ・シアターはヘレンヘイズ劇場の他に、ミッドタウンに位置する「トニーカイザー劇場(The Tony Kiser Theater)」やアッパーウエスト地区に位置するオフ・ブロードウェイ劇場「McGinn/Cazale Theater」を所有しており、2016年3月に期間限定で登場したセカンド・ステージ・シアターによるオフ・ブロードウェイ作品「ディアー・エヴァン・ハンセン(Dear Evan Hansen)」は、後にオン・ブロードウェイ化され、2017年度トニー賞授賞式でミュージカル作品賞を含む6部門を受賞しました。

Helen Hayes Theatreで上演された過去の作品

上演開始日 演目
1912年3月19日~4月1日 The Terrible Meek
1912年3月19日~4月1日 The Flower of the Palace of Han
1912年10月14日~12月1日 The Affairs of Anatol
1912年12月24日1913年2月1日 Rutherford & Son
1913年12月30日~1914年3月1日 The Philanderer
1914年4月14日~6月1日 The Truth
1914年10月20日~1915年5月1日 A Pair of Silk Stockings
1916年10月3日~11月1日 Hush!
1916年11月6日~1917年1月27日 Pierrot the Prodigal
1917年2月13日~3月1日 The Morris Dance
1918年12月26日~1919年8月1日 A Little Journey
1919年2月10日~3月16日 Please Get Married
1919年4月10日~4月30日 Papa
1920年1月19日~4月1日 Mamma’s Affair
1920年2月12日~3月1日 He and She
1920年3月9日~6月26日 Beyond the Horizon
1920年5月18日~5月29日 A Midsummer Night’s Dream
1920年9月25日~10月1日 Marry the Poor Girl
1920年10月20日~1922年8月1日 The First Year
1922年8月24日~9月1日 A Serpent’s Tooth
1922年9月25日~1923年1月1日 Spite Corner
1923年1月11日~6月1日 Polly Preferred
1923年9月24日~1924年1月1日 Chicken Feed
1924年1月28日~7月19日 Little Jessie James
1924年9月1日~1925年6月1日 Pigs
1925年2月3日~2月28日 Don’t Bother Mother
1925年8月24日~9月26日 The Sea Woman
1925年10月22日~1926年1月1日 The School for Scandal
1925年12月21日~1926年1月23日 The Master of the Inn
1926年1月25日~3月6日 The Love City
1926年2月15日~7月1日 The Wisdom Tooth
1926年9月9日~1927年6月18日 Two Girls Wanted
1926年11月1日~1927年1月1日 Seed of the Brute
1927年5月31日~9月24日 Grand Street Follies [1927]
1927年9月20日~9月1日 Lovers and Enemies
1927年10月3日~10月22日 Romancin’ Round
1927年10月25日~11月1日 If
1927年12月6日~1928年1月1日 Trigger
1928年2月1日~2月11日 La Gringa
1928年2月15日~3月1日 Spring 3100
1928年4月2日~4月30日 March Hares
1928年4月19日~5月1日 Box Seats
1928年6月14日~7月1日 Married-and How!
1928年8月28日~10月1日 Eva the Fifth
1928年10月24日~11月17日 Gods of the Lightning
1928年11月26日~12月15日 The Lady Lies
1928年12月22日~1929年4月1日 That Ferguson Family
1929年1月15日~2月1日 House Unguarded
1929年2月19日~12月1日 Let Us Be Gay
1930年2月3日~3月1日 Many a Slip
1930年3月31日~4月1日 House Afire
1930年4月19日~4月30日 Dora Mobridge
1930年5月2日~5月31日 The Traitor
1930年10月18日~10月31日 London Calling
1930年11月10日~11月1日 Mr. Samuel
1930年12月22日~1931年1月 Life Is Like That
1931年2月16日~6月6日 Mrs. Moonlight
1931年10月5日~1932年5月1日 The Left Bank
1932年10月24日~10月31日 The Girl Outside
1932年12月23日~1933年2月1日 Honeymoon
1933年1月10日~1月31日 Two Strange Women
1933年2月15日~3月11日 One Sunday Afternoon
1933年10月25日~11月1日 The World Waits
1933年11月12日~12月1日 Our Stage and Stars
1934年1月15日~2月1日 False Dreams, Farewell
1934年2月9日~3月1日 Broomsticks, Amen!
1934年3月31日~4月 One More Honeymoon
1934年5月1日~5月12日 The Lady from the Sea
1934年6月10日~8月4日 Kykundor
1934年10月3日~11月13日 Continental Varieties
1934年12月10日~12月29日 Dark Victory
1934年12月31日~1935年1月1日 Slightly Delirious
1935年1月14日~2月16日 Ode to Liberty
1936年12月30日~1937年1月1日 Promise
1937年2月8日~2月28日 Be So Kindly
1937年3月10日~4月24日 Sun Kissed
1937年5月12日~6月1日 Abie’s Irish Rose
1937年11月19日~11月30日 The Bough Breaks
1937年12月7日~1938年1月2日 Edna His Wife
1938年3月11日~3月31日 The Hill Between
1938年11月25日~11月30日 Gloriana
1938年12月26日~1939年1月15日 Ruth Draper
1939年1月30日~2月25日 Spring Meeting
1940年2月21日~5月4日 Reunion in New York
1941年2月4日~2月23日 Tanyard Street
1941年4月4日~4月5日 Your Loving Son
1941年12月2日~12月13日 Twelfth Night
1963年11月2日~11月23日 Tambourines to Glory
1963年12月26日~12月28日 Double Dublin
1964年2月3日~3月22日 The Dybbuk
1964年2月26日~3月22日 Children of the Shadows
1964年3月11日~3月22日 Each Had Six Wings
1964年年4月19日~8月22日 Baby Want a Kiss
1964年9月3日~1965年3月21日 The Subject Was Roses
1974年4月30日~8月11日 My Sister, My Sister
1974年10月2日~10月2日 Medea and Jason
1975年1月29日~2月1日 Man on the Moon
1975年10月16日~12月21日 Lamppost Reunion
1976年5月18日~1978年10月30日 The Runner Stumbles
1976年10月5日~1977年10月2日 Equus
1977年3月2日~3月6日 Unexpected Guests
1977年3月22日~4月30日 A Party with Betty Comden & Adolph Green
1977年5月21日~1981年9月6日 Gemini
1981年11月8日~11月8日 Ned & Jack
1982年1月25日~2月21日 The Curse of an Aching Heart
1982年4月8日~4月10日 Solomon’s Child
1982年6月10日~1985年5月19日 Torch Song Trilogy
1985年11月7日~11月9日 The News
1986年1月5日~4月20日 Corpse!
1986年6月17日~10月26日 Mummenschanz: “The New Show”
1986年11月17日~1987年1月3日 Oh Coward!
1987年3月22日~1988年4月10日 The Nerd
1988年5月1日~1989年1月15日 Romance / Romance
1989年7月25日~9月16日 Mandy Patinkin in Concert: “Dress Casual”
1989年11月30日~12月31日 Artist Descending a Staircase
1990年2月15日~2月25日 Miss Margarida’s Way
1990年5月1日~1991年5月19日 Prelude to a Kiss
1992年4月21日~5月2日 The High Rollers Social and Pleasure Club
1992年11月19日~12月27日 3 from Brooklyn
1993年4月26日~1994年1月2日 Shakespeare for My Father
1994年5月5日~6月19日 Sally Marr…and Her Escorts
1994年11月20日~1995年1月1日 The Flying Karamazov Brothers “Do the Impossible”
1995年3月26日~1997年1月4日 Rob Becker’s Defending the Caveman
1997年2月27日~1998年6月28日 The Last Night of Ballyhoo
1998年8月27日~9月19日 Colin Quinn — An Irish Wake
1998年10月25日~11月29日 Getting and Spending
1999年3月7日~3月21日 Band in Berlin
1999年4月20日~6月27日 Night Must Fall
1999年9月30日~12月19日 Epic Proportions
2000年2月29日~3月26日 Squonk
2000年5月1日~2001年3月4日 Dirty Blonde
2001年4月30日~7月22日 George Gershwin Alone
2001年10月28日~12月30日 By Jeeves
2002年3月26日~4月28日 The Smell of the Kill
2002年10月10日~2003年8月24日 Say Goodnight, Gracie
2003年10月15日~2005年1月2日 Golda’s Balcony
2005年3月23日~9月4日 Jackie Mason: Freshly Squeezed
2005年3月23日~9月4日 Jackie Mason: Freshly Squeezed
2005年10月13日~12月31日 Latinologues
2005年10月23日~12月31日 Latinologues
2006年1月26日~8月6日 Bridge & Tunnel
2006年8月15日~9月10日 Kiki & Herb: Alive on Broadway
2006年9月28日~11月26日 Jay Johnson: The Two and Only
2007年7月10日~2008年9月28日 Xanadu
2008年12月7日~2009年1月4日 Slava’s Snowshow
2009年1月21日~2010年1月10日 The 39 Steps
2010年3月11日~7月4日 Next Fall
2010年11月9日~2011年3月5日 Colin Quinn: Long Story Short
2011年3月24日~2015年1月18日 Rock of Ages
2015年10月22日~2016年1月3日 Dames at Sea
2016年1月24日~7月24日 The Humans
2017年11月23日 現在上演中の演目は御座いません。