Neil Simon Theatre|基本情報

住所: 250 W 52nd St, New York, NY 10019(地図
開業: 1927年11月22日
収容人数: 1,428人
座席表: ※クリックして拡大
ニール・サイモン劇場の座席表

Neil Simon Theatre 劇場の歴史

旧名称:アルヴィン劇場の名前の由来は創業者の頭文字

アレックス・アーロンズ(左)とビントン・フリードリー(右)
1927年11月22日に開業したニール・サイモン劇場は、劇場プロデューサーのアレックス・アーロンズ(Alex Aarons)と同職のビントン・フリードリー(Vinton Freedley)によって建設されました。1983年までの76年間は「アルヴィン劇場(Alvin Theatre)」という名前で知られており、劇場名の「アルヴィン(Alvin)」は、建設者であるALex AaronsとVINton Freedleyの名前の頭文字を取りAlvin Theatreと命名されました。

アルヴィン劇場は、オーガスト・ウィルソン劇場(当時の名はギルド劇場)と向かい合わせになる位置に建設されました。これによってアルヴィン劇場は、ニューヨークタイムズの有名な批評家であるブルックス・アトキンソンに「アルヴィン劇場を、ギルド劇場の目の前にを建てるとは実に挑発的だ」と発言され、世間に注目を浴びることとなりました。

世界恐慌の影響で、劇場はラジオ局CBSのラジオスタジオに

1927年の開業と共に公演を開始したミュージカル作品「ファニーフェイス(Funny Face)」はいきなりのヒット公演でのスタートとなり、1930年にはブロードウェイの女王と呼ばれたエセル・マーマン(Ethel Merman)が「Girl Crazy」公演でブロードウェイデビューを飾るなど、賑わいを見せていました。その直後、世界大恐慌がブロードウェイのショービジネス産業全体を襲い、この劇場にも火種が飛ぶと、アーロンズとフリードリーによる劇場運営は上手くいかず、敢え無くラジオ局のCBSに劇場を貸出すこととなり、以降しばらくの間はラジオの収録、放送スタジオとして使用されていました。1947年にはジャーナリストのハーマン・バーンステイン(Herman Bernstein)が劇場を購入し、ミュージカル作品の公演を行っていましたが注目される大きなヒット作は生まれませんでした。

Nederlander Organizationが買収してNeil Simon Theatreへ改名

1977年、大手劇場運営会社のネダーランダー・オーガニゼーションがアルヴィン劇場を買収し、同年4月21日、ミュージカル「アニー(Annie)」のオリジナル作品公演を開始しました。同年の第31回トニー賞の11部門にノミネート、ミュージカル作品賞作曲賞ミュージカル脚本賞を含む7部門を受賞を記録し、当時の劇場史上に記録される大ヒットとなりました。公演回数は2,377回を記録するロングラン公演となり、1983年1月2日で終演となりましたが、2009年までは劇場の最長上演回数を保持していました。

劇場前に立つニール・サイモン(Neil Simon)氏
1983年、ニール・サイモンによる戯曲「思い出のブライトンビーチ(Brighton Beach Memoirs)」の公演を開始すると、その数か月後の同年6月29日、ネダーランダー・オーガニゼーションは、数多く作品を世に送り出してはアルヴィン劇場にて公演を行った劇作家ニール・サイモン(Neil Simon)の功績に敬意を表し、劇場名をNeil Simon Theatreへ改名しました。

2000年以降のNeil Simon Theatreはリバイバル作品を中心に公演

2002年8月15日、ニールサイモン劇場ではミュージカル「ヘアスプレー(Hairspray)」の公演が始まると、当時「アニー(Annie)」が持っていたこの劇場のロングラン記録を上回り、2,642公演のロングラン記録を樹立し、翌年2003年には第57回トニー賞で13部門にノミネートされミュージカル作品賞を始め、脚本賞楽曲賞演出賞を含む8部門で受賞を果たしました。
2009年1月4日に「ヘアスプレー」が終演した後、過去に初演でトニー賞13部門ノミネート、4部門受賞を果たしていた「ラグタイム(Ragtime)」のリバイバル作品公演を行うことが決まり、1月から11月までの10か月間は舞台の入念な準備のため、劇場では一切公演を行いませんでした。「ラグタイム」公演の復活に、劇場関係者らは大きな期待を寄せていましたが、11月15日に公演が開始されるも客足は乏しく、僅か65公演で幕を閉じ、劇場史に残る失敗となりました。

2011年4月には、ミュージカル「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(Catch Me if You Can)」の初演が開始しました。この作品は実際に存在した詐欺師フランク・アバグネイル氏の半生を描いた作品で、彼は信用詐欺、小切手詐欺、身分詐称(パイロット、医師、弁護士等)を幾度となく繰り返しては、拘留からの脱出(JFK空港の誘導路で飛行機を降り逃亡)など、逮捕から逃れてきました。自伝「Catch Me if You Can」を発表すると2002年に映画化され、さらにブロードウェイでのミュージカル化が決定しました。公演開始に向け、大ヒット作の「ヘアスプレー」を演じた役者らを多く起用し、第65回トニー賞ではキャッチ・ミー・イフ・ユーキャンでFBI捜査官役を演じたノーバート・レオ・バッツ(Norbert Leo Butz)がミュージカル主演男優賞を受賞し、4部門にノミネートされましたが、「ヘアスプレー」の”大ヒット”にあやかることは出来ず、僅か5か月後の9月に終演しました。海外公演では2012年には韓国、2014年には日本にて、荻田浩一の翻訳・訳詞・演出によりシアタークリエ劇場で上演、また2015年には宝塚歌劇団の星組により公演されました。

2015年なると、ネダーランダー・オーガニゼーションは、ニール・サイモン劇場の上空の約1858平方メートルの空中権を新たな高層ビルの建設計画をしている事業者へ980万ドル(約11億円)で売却したことで一時注目を集めました。また、2016年6月31日からミュージカル「キャッツ(Cats)」のリバイバル作品が公演されましたが、過去に記録した歴代4位のロングラン公演7,485回の記録した「キャッツ」の人気、売上げ規模の予想より、実際の収益は約50%に留まり、期待の声もあったロングラン記録の塗り替えは叶わず、593回公演を行った上、2017年12月30日に幕を閉じました。

Neil Simon Theatreの劇場建築

建築家ハーバート・クラップ(Herbert J. Krapp)によるアダム様式の劇場内装デザイン

アルヴィン劇場は、当時の最も有名な建築家ハーバート・クラップによって手掛けられました。18世紀のイギリス建築をモチーフにして建築され、劇場の外装は赤いレンガで覆いつつもアイボリー色(白系食)の素焼きの装飾を施し、落ち着いた印象を与えつつもどこか気品のある仕上がりとなっています。内装は、クラップの象徴的建築スタイルとも言えるアダム様式(18世紀後期イギリスの建築家ロバート・アダムらアダム兄弟が確立した室内装飾や家具のデザイン様式)でデザインされており、アルヴィン劇場では古典的なデザインを用い、ゴールドや赤色で装飾を施して劇場全体に統一感を持たせることで優雅さを演出しています。
1,428座席を擁するこの劇場は、オーケストラ、メザニン、バルコニー席の3階建てで造られおり、劇場の上層部には設立者であるアレックス・アーロンズとビントン・フリードリーが仕事をするオフィスがありました。
ハーバート・クラップについて詳しく見る ▶︎

以下の画像ではアダム様式を採用したクラップによる内装デザインの一部をご覧いただけます。

※クリックして画像を拡大

18世紀のイギリス建築をモチーフとした建築デザイン
アダム様式を採用し、ゴールドで装飾デザインされたBOX席
ゴールドと赤色が基調の統一感ある内装

New York City Landmarks Preservation Commissionにより歴史建造物指定を受ける

1985年、ニューヨーク市歴史建造物保存委員会 (New York City Landmarks Preservation Commission) により、アルヴィン劇場を含む3軒の劇場が、1920年代に建設されて以来ニューヨーク市を代表する文化的建造物に値するとして同時にランドマーク(歴史建造物)指定を受けました。この委員会はアメリカで最大の歴史保存機関であり、11人の委員によって構成され、対象となる建造物を機関内の投票により決定します。ニューヨーク市において①建築的に重要な建造物、②歴史的および文化的に重要な建造物へ歴史建造物(ランドマーク)の地位を認定し、登録建造物そのものだけでなく、ぞれぞれの建造物に蓄積された歴史をも保護しています。
下記の表では、同時にランドマーク指定を受けた3軒の劇場・建築家・指定理由・指定箇所を紹介しています。

劇場名 建築家 指定理由 指定箇所
アルヴィン劇場(現ニール・サイモン劇場)
Alvin Theatre
ハーバート・クラップ ①建築的
②歴史的及び文化的
内装と外装
アンバサダー劇場
Ambassodar Theatre
ハーバート・クラップ ①建築的
②歴史的及び文化的
内装と外装
※外装は文化的のみ
ヴァージニア劇場(現オーガスト・ウィルソン劇場)
Virginia Theatre
ハワード・クレーン ①建築的 外装のみ

アルヴィン劇場、アンバサダー劇場ヴァージニア劇場(現オーガスト・ウィルソン劇場)の中でも、アルヴィン劇場だけは文化的、建築的な重要性を、劇場の外装内装共に高く評価され、ランドマーク指定を受けました。

Neil Simon Theatreで上演された過去の作品

上演開始日 演目
1928年11月8日~1929年1月5日 Treasure Girl
1929年1月1日~12月31日 Wings Over Europe
1929年3月11日~6月8日 Spring Is Here
1929年11月11日~1930年3月15日 Heads Up
1930年4月14日~5月10日 The Apple Cart
1929年3月11日~6月8日 Spring Is Here
1929年11月11日~1930年3月15日 Heads Up
1929年11月11日~1930年3月15日 The Apple Cart
1930年4月14日~5月10日 Girl Crazy
1930年10月14日~1931年6月6日 Wonder Boy
1931年12月25日~12月31日 Tom Sawyer
1932年1月20日~1月31日 Adam Had Two Sons
1932年2月29日~4月16日 Mourning Becomes Electra
1932年5月9日~5月21日 Mourning Becomes Electra
1932年11月8日~1933年9月16日 Music in the Air
1933年5月29日~6月1日 Uncle Tom’s Cabin
1933年11月27日~6月2日 Mary of Scotland
1934年11月21日~1935年9月28日 Anything Goes
1935年10月10日~1936年1月25日 Porgy and Bess
1936年3月2日~3月25日 Dear Old Darling
1936年10月29日~1937年4月10日 Red, Hot and Blue
1937年11月2日~1938年6月9日 I’d Rather Be Right
1938年11月23日~1939年6月10日 The Boys from Syracuse
1939年8月28日~12月9日 George White’s Scandals [1939]
1939年11月17日~1940年1月6日 Very Warm for May
1940年2月5日~2月10日 The Taming of the Shrew
1940年3月6日~5月18日 The Fifth Column
1940年9月9日~11月2日 There Shall Be No Night
1941年1月23日~6月15日 Lady in the Dark
1942年6月22日~7月25日 Laugh, Town, Laugh!
1942年11月19日~11月22日 Once Over Lightly
1942年12月27日~12月31日 Angna Enters
1943年1月7日~1944年1月8日 Something for the Boys
1944年1月13日~3月11日 Jackpot
1944年4月24日~6月15日 Helen Goes to Troy
1944年5月14日~5月21日 The Secret of Suzanne
1944年5月14日~5月21日 The Maid as Mistress
1944年5月14日~5月21日 The Maid as Mistress / The Secret of Suzanne
1944年11月16日~1945年1月6日 Sadie Thompson
1945年1月25日~3月17日 The Tempest
1945年3月22日~4月28日 The Firebrand of Florence
1945年5月31日~7月14日 Hollywood Pinafore
1945年10月6日~12月2日 Polonaise
1945年12月21日~1946年6月29日 Billion Dollar Baby
1945年9月5日~10月5日 A Flag Is Born
1946年10月8日~11月16日 Cyrano de Bergerac
1946年11月18日~1947年5月10日 Joan of Lorraine
1947年6月17日~6月12日 Life with Father
1947年10月8日~1948年2月14日 Man and Superman
1948年2月18日~1951年6月6日 Mister Roberts
1951年1月13日~3月24日 Darkness at Noon
1951年4月19日~12月8日 A Tree Grows in Brooklyn
1951年12月13日~1952年11月22日 Point of No Return
1952年12月15日~1953年3月8日 Two’s Company
1953年11月4日~1954年3月27日 Kind Sir
1954年4月20日~8月7日 The Golden Apple
1954年12月30日~1955年5月21日 House of Flowers
1955年10月20日~1957年9月14日 No Time for Sergeants
1957年11月6日~12月14日 Rumple
1958年2月4日~7月19日 Oh Captain!
1958年9月4日~10月11日 New York Export: Opus Jazz
1958年9月4日~10月11日 3 x 3
1958年9月4日~10月11日 Afternoon of a Faun
1958年9月4日~10月11日 The Concert
1958年9月4日~10月11日 Jerome Robbins’ Ballet: U.S.A.
1958年12月15日~1959年3月7日 Bells Are Ringing
1959年3月19日~5月30日 First Impressions
1959年11月2日~11月14日 The Girls Against the Boys
1959年11月25日~1960年2月22日 Once Upon a Mattress
1960年3月8日~5月28日 Greenwillow
1960年9月26日~10月22日 Les Ballets Africains
1960年10月24日~12月10日 West Side Story
1960年12月16日~1961年6月3日 Wildcat
1961年10月30日~12月31日 Irma La Douce
1962年1月6日~1月13日 Giants, Sons of Giants
1962年2月1日~2月24日 New Faces of 1962
1962年5月8日~1964年3月7日 A Funny Thing Happened on the Way to the Forum
1964年4月7日~1965年2月27日 High Spirits
1965年4月1日~5月1日 Maurice Chevalier at 77
1965年5月11日~7月24日 Flora, the Red Menace
1965年12月10日~12月11日 The Yearling
1966年3月29日~7月16日 “It’s a Bird…It’s a Plane…It’s Superman”
1966年9月27日~1967年1月14日 Dinner at Eight
1967年3月28日~5月27日 Sherry!
1967年10月16日~1968年1月6日 Rosencrantz and Guildenstern Are Dead
1968年4月4日~4月27日 The Education of H*Y*M*A*N K*A*P*L*A*N
1968年10月3日~1970年1月31日 The Great White Hope
1970年4月26日~1972年1月1日 Company
1972年4月16日~5月27日 Promenade, All!
1973年1月8日~1月13日 Tricks
1973年11月1日~12月29日 Molly
1974年2月17日~2月24日 The Freedom of the City
1975年1月7日~1977年3月27日 Shenandoah
1976年9月27日~10月18日 Kings
1977年4月21日~9月13日 Annie
1981年11月16日~11月28日 Merrily We Roll Along
1982年3月21日~3月21日 Little Johnny Jones
1982年5月27日~5月30日 Do Black Patent Leather Shoes Really Reflect Up?
1982年6月8日~6月11日 Seven Brides for Seven Brothers
1982年9月9日~11月7日 Your Arms Too Short to Box with God
1983年3月27日~1985年2月24日 Brighton Beach Memoirs
1985年3月28日~1986年6月28日 Biloxi Blues
1986年10月22日~10月26日 Into the Light
1987年3月31日~6月28日 Blithe Spirit
1987年10月11日~11月1日 Mort Sahl on Broadway!
1987年11月15日~1988年4月10日 Breaking the Code
1988年6月14日~6月23日 Long Day’s Journey Into Night
1988年6月23日~7月23日 Ah, Wilderness!
1988年11月1日~11月6日 Kenny Loggins on Broadway
1989年9月24日~12月17日 Orpheus Descending
1990年1月23日~2月4日 Don Cossacks
1990年10月17日~6月30日 Jackie Mason: Brand New
1992年3月24日~10月25日 Jake’s Women
1933年11月21日~1934年3月20日 Cyrano – The Musical
1994年5月1日~5月8日 The Rise and Fall of Little Voice
1994年11月14日~11月27日 Basia on Broadway
1995年4月6日~4月9日 Laurie Anderson on Broadway (The Nerve Bible)BroadwayOriginal
1995年11月8日~1955年4月9日 Danny Gans on Broadway: The Man of Many Voices
1996年4月11日~1998年2月22日 The King and I
1998年4月4日~8月29日 A View from the Bridge
1998年10月8日~1999年1月23日 Swan Lake
1999年6月8日~6月13日 Natalie Merchant
1999年9月10日~2000年1月2日 The Scarlet Pimpernel
2000年4月27日~2001年12月30日 The Music Man
2001年9月10日~9月10日 Mandy Patinkin in Concert
2002年2月21日~5月26日 Elaine Stritch at Liberty
2002年8月15日~2009年1月4日 Hairspray
2009年11月15日~2010年1月10日 Ragtimey
2010年6月15日~6月31日 Harry Connick, Jr. in Concert on Broadway
2010年10月26日~2011年1月15日 Rain: A Tribute to the Beatles
2011年4月10日~9月4日 Catch Me If You Can
2012年3月22日~6月1日 Jesus Christ Superstar
2012年11月15日~12月9日 Scandalous: The Life and Trials of Aimee Semple McPherson
2013年10月6日~12月29日 Big Fish
2014年3月6日~6月29日 All The Way
2014年10月26日~2015年6月21日 The Last Ship
2015年4月8日~6月21日 Gigi
2015年12月4日~2016年1月3日 The Illusionists – Live On Broadway
2016年7月31日~2017年12月30日 キャッツ