そもそも「ブロードウェイ(Broadway)」とは何を意味するのでしょう。
ブロードウェイ=ミュージカルなのでしょうか。
このページでは名前の由来や劇場の呼び名など歴史的背景から説明します。

Broadwayという名前の由来

ブロードウェイ(Broadway)の由来
「Broadway(ブロードウェイ)」という言葉は、オランダ語で広い道を意味する「Brede weg(ブレイディ・ヴェーク)」を直訳して使用されたことに始まります。
ブロードウェイは、アルゴンキン語派で「the Wickquasgeck Trail(ウィクカスゲック・トレイル)」と呼ばれ、元々その土地にいたアメリカン先住民が形成した、沼地、岩場、灌木を通る大きな道のことで、現在のようにマンハッタン島を上下に縦断するように造られていました。

ブロードウェイの旧名称はHeerestraat

1609年、オランダ東インド会社が、アジアに通じる北西航路開拓を求めた際、イギリス人探検家のヘンリー・ハドソン(後にその名がハドソン川の名前の由来となる)を雇いました。マンハッタン島へ上陸を果たしたハドソンは、島の西側の川を北上した際に出会ったアメリカ先住民らと交易を行い、ビーバーやカワウソの良質の毛皮などを入手し、これをきっかけに毛皮交易を始めました。次第にこの地域への権利を主張するようになり、1621年にはオランダ西インド会社(Dutch West India Company)に管轄が移ると、流域一帯をオランダ領ニューネーデルラントと宣言してマンハッタン島の南部に植民地を建設、1625年にはその中心に都市ニューアムステルダムを設けました。ニューアムステルダム(南部)からthe Wickquasgeck Trailを利用してマンハッタン北部の農場へ移動していたオランダからの移民らは、この道を「Heerestraat」と呼んでいました。
ちなみに、ニューヨークという名前の起源はこの少し後にあり、1664年にイギリス軍がマンハッタン島へ侵攻してオランダが無条件で降伏すると、都市ニューアムステルダムを含むニューネーデルラントはイギリスの領土となり、当時のイギリス王であるチャールズ2世がこの土地を弟のヨーク公に与えたことで、ニューアムステルダムはニューヨークと改称された経緯があります。

昔のBroadwayは3つに分かれていた

今日では「Broadway」の呼び名で知られる1本道は、昔は場所によって3つの異なる名前で呼ばれていましたが、1899年に、以上の3つの区間が統合されて「Broadway(ブロードウェイ)」と呼ばれるようになりました。

1. Bloomingdale Road

マンハッタン最南端~現在ニューヨーク市庁舎(マレー通り:Murray Street)まで

2. Broadway Street

Murray Street~59th St(59丁目)まで

3. The Boulevard

59丁目より北

ブロードウェイ=劇場街(シアター・ディストリクト)となったきっかけ

 シアター・ディストリクト(Theater District)
ブロードウェイに劇場街が形成され始めたのは、1880年にブロードウェイと41丁目の角にメトロポリタン・オペラハウスが建てられたのがきっかけでした。
このオペラハウスを中心に、南北は41丁目から53丁目、東西は6番街から9番街までを中心に劇場が建てられ、演劇産業が大きく発展しました。また、1904年、ロングエーカー・スクエアと呼ばれていた場所に「ニューヨーク・タイムズ」のビルが建てられ、その場所がタイムズスクエアと改称されて以降、タイムズスクエアを中心にブロードウェイは発展していき、道の名前というよりは、ブロードウェイ = 劇場街(シアター・ディストリクト)を意味するようになりました。
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ミュージカルの起源

その起源はオペラにあります。オペラの起源はルネッサンス末期の16世紀=17世紀頃、イタリアのフィレンツェの貴族バルディ家が芸術家や学者たちを集め、ギリシア神話を題材に音楽劇の上映したことから始まりました。時代と共に変化を重ね、オペラの物語の合間に、喜劇的な場面が挿入されるようになり、17世紀の半ば頃になると、それが独立した作品としてオペラ・ブーファと呼ばれるようになり、やがてこのオペラ・ブーファが、イギリス(ロンドン)ではコミック・オペラ、フランス(パリ)ではオペラ・コミック、オーストリア(ウィーン)ではオペレッタとして発展していきました。そして、コミック・オペラがアメリカにも1900年代から20年代にかけて上陸し、一世を風靡しましたが、20年代後半には社会や人々の思考の変化により徐々に人気が衰えていきました。

ブロードウェイの起源ボードビル(Vaudeville)
音楽の世界でも、1870年頃からアメリカの酒場ではジャズの源流であるラグタイムと呼ばれる新しい音楽が人気を集めるようになっており、この流れの中で、オペラから発生したコミック・オペラは、アメリカでまずミュージカル・コメディへと移り変わっていきました。当時アメリカで流行っていた大衆向けの演劇を行う小劇場「ボードビル(Vaudeville):寄席演芸」と相まって、ミュージカルに近い形になってきましたが、まだミュージカル・コメディにはほとんどストーリー性はあまりありませんでした。

1927年12月27日、ニューヨークで初めて本格的な物語性を持った作品「ショーボート(Show Boat)」が公演されました。この作品は、リアリティのある登場人物が物語の展開を設定に即して歌い、人間問題や結婚生活の破綻といった社会問題を扱っていました。この作品によってブロードウェイには、それまでのミュージカル・コメディに代わって、より現代的なミュージカル・プレイが誕生したとされています。それ以後、物語と音楽の一貫性、融合性の方向が明確化された作品が作られるようになり、現代ミュージカルが誕生したとされています。

ブロードウェイ・ミュージカルとは

ニューヨークで行われている全てのミュージカルや演劇の総称がブロードウェイだと勘違いされやすいのですが、ブロードウェイ・ミュージカルとは、41丁目から54丁目の中に建つ500以上の座席を持つ40の劇場で上演されている作品のことを指します。唯一、リンカーンセンターのなかにあるビビアン・ビューモント劇場(Vivian Beaumont Theater)のみこの範囲を外れていますが、この劇場での作品もブロードウェイ作品として扱われています。年に1回行われる演劇界の最高の栄誉であるトニー賞は、この40の劇場で上演された作品を対象としています。

宮沢りえや藤木直人が主演した「海辺のカフカ」や宝塚OGによる「シカゴ」が行われたリンカーンセンターのディヴィッド・H・コーク劇場(David H. Koch Theater)は、座席が2500程ありますが、ここはブロードウェイの劇場ではないため、ここで上演した作品はブロードウェイ作品という扱いにはありません。

TheaterとTheatreの違い

綴りの最後がerになるか、reになるかは、アメリカ英語とイギリス英語の違いですが、アメリカであえて「Theatre」を使うことがあります。それは劇場という場所を指すとき。これは演劇の発祥の地であるイギリスに敬意を払い、場所を指すときのみイギリス英語を使っていると言われています。ブロードウェイの劇場のうち、リンカーンセンターにあるビビアン・ビューモント劇場(Vivian Beaumont Theater)以外は、全て劇場名に「Theatre」を使っています。劇場という意味以外でこの単語を使うときは「Theater」を使います。

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