NYスリープノーモアについて一番詳しく書いてるページ:観劇レポート第三弾

スリープ・ノーモア(Sleep No More)観劇レポート 2019年10月22日

こんにちはスタッフ池田です。
この度、スタッフ水木と共に、初めてのスリープ・ノーモアを観劇してまいりました。
本公演は、ブログなどで紹介している芸能人の方も多々おり、またハマりすぎてなんと5回も観に行ったという友人もおり、「何がそこまで人を魅了するのだろうか?」と、興味を惹かれていた作品でした。
観劇中は本作品の独特の世界観に魅了され、それでいて謎、謎、謎の連続でしたが、やっと頭の整理がついた今、最終的な感想は
・こんな体験したことがない
・噛み切れない部分が多すぎる
の2つです。
そこで今回の観劇レポートは、この謎めいた公演を深く理解するために、作品の解説を中心に書き上げました。(※ネタバレを多少含みます。)見どころは抑えたい!という初めての方はもちろん、何度も通っているファンの方にも楽しめる内容になっていますので是非ご覧ください。

スリープ・ノーモア(Sleep No More)について

新感覚体験型ミュージカル「スリープノーモア(Sleep No More)」
本作品は、通常のミュージカルや劇には分類出来ない「特殊な作品」に対して送られるドラマディスク賞(オフ・ブロードウェイ作品におけるトニー賞のようなもの)のUnique Theatrical Experienceを2011年に受賞しています。その後、その独自性、また精巧に作られたストーリーが話題となり、今ではすっかりオフ・ブロードウェイ作品を代表する作品です。
ちなみに題名である「スリープ・ノーモア」は、ストーリーの基となった戯曲「マクベス」の実際の一文から取られています。寝ている主君を自らの手で殺めたマクベスは、いつか自分も誰かに寝込みを襲われるのではないかと疑心暗鬼となり、「Sleep No More(もう眠るな)」という声が聞こえるようになります…

スリープノーモアの会場はThe McKittrick Hotel

マッキトリック ホテル(The McKittrick Hotel)の前。チェックインの時間帯は、ホテル前に入場を待つ人の列が出来ます。
会場であるマッキトリックホテルは、繁華街から離れた、マンハッタン島の西端の方にあります。劇場までの行き方・帰り方などは前回の観劇レポートでとても詳しく説明していますので、ぜひ御覧ください。コチラ ▶
The McKittrick Hotelは廃墟として長年放置されていたこともあり、外観だけ見ると少し不安になりますが、入場時間帯はホテル前に列が出来ていますので、心配する必要はありません。なぜこんな建物で公演をしているのか、疑問に思われる方もいるかも知れませんが、実はこの会場は、Sleep No Moreの制作陣が上演するにあたり、マンハッタン島のありとあらゆる建物の中から、選び抜いた会場となります。気になる会場の歴史や詳細は以下から御覧頂けます。

Sleep No Moreの予約方法をおさらいする

今回は7時半で予約しましたが、7時には会場の前に到着して列に並びました。というのもスリープ・ノー・モアの予約時間は少し変わっているからです。

21歳以上の方の手には、会場の外で身分確認の後、この判子が押されます。会場内の待合室(バー)ではこの判子が押されている人のみお酒を飲む事が出来ます。

スリープ・ノーモアの公演時間について

本作品の公演は1時間が1区切りで、それが3回続けて行われます。3回の公演内容は少しづつ変わって行き、3回目の最後がクライマックスとなります。つまり、今回で言えば、10時のクライマックスに向けて、7時から既に1回目の公演が始まっていることになります。
そして、予約時間は1回目の公演中のどこか(7時~8時)となり、細かい時間指定があるわけではないので、7時前には会場に着いて、早めに入場した方がより長く作品を楽しめるということになります。

実際に渡されたトランプと仮面。このトランプは出口付近の公式グッズ売り場で購入可能です。値段:$15

スリープ・ノーモアはチケットが存在しない

もう1点、スリープノーモアの予約で変わっているのは、他のミュージカルと違い、チケットが存在しないということです。予約は全て名前でとられており、まさにホテルのチェックインのような感じです。ホテルの外で身分証明書を見せた後、中で手荷物けてからカウンターへと進みます。(詳しくはコチラ▶
そこで予約名をスタッフに伝えると、トランプのカードが渡されます。
待合室となるバーへと進んだら、渡されたトランプの番号が呼ばれるまで、お酒でも飲みながらくつろいでいればOKです。ちなみに、仮面は番号が呼ばれた後、エレベーター内で配られます。

Sleep No Moreをより楽しむために

スリープノーモア:事前に知っておくべき3つの心得

①個人行動を楽しむ事
②2人以上で行くときは事前に集合場所を決めておく事
③動きやすい服装(スニーカー)で行くこと

①Follow your Instinct(本能が赴くままに) Sleep No Moreはとことん1人行動

スタッフ水木と池田、2人の番号も呼ばれて、いよいよパフォーマンスエリアへと向かいました。
今回はたまたま同じエレベーターに乗りましたが、基本的には、バーを出た時から最後まで、1人で行動することになります。会場スタッフからも、「自分が気になった場所に1人で突き進んで行く事」をお勧めされました。個人行動が本作品を楽しむ秘訣のようです。そしてこの忠告に伴い、2名以上で向かわれる場合は、カードの番号が呼ばれる前に、終了後の集合場所を決めておくといいでしょう。

開演前、終演後に観客が集まる:マンダレイ・バー

②再集合場所はマンダレイ・バー(MANDERLEY BAR)

マンダレイ・バーは、最初に観客全員が順番待ちをする2階にあるバーです。公演の後に、ほとんどの人はそこへ戻ってくるよう誘導されるので、公演終わりに再集合しやすい場所と言えるでしょう。ただ、公演の終了時は100人近い人たちがパフォーマンスエリアからバーを経由して、玄関まで一気に移動するので、確実にお連れ様に会えるよう、「トイレの前で会おう」などバー内での場所も決めておくことを推奨します。

③軽装・スニーカー必須!とにかく歩き回るマッキトリック ホテル内

公演が始まると、ビルの非常階段のような狭い階段を、気になる演者を追って、何度も往復することになります。演者の動くスピードがとにかく速く、また、場合によっては、砂の上を歩くことにもなったり、血糊や水が飛んできたりします。なので、当日はスニーカー(動きやすい靴)を履き、またいわゆる正装ではなく、動きやすい服装で向かいましょう。

【徹底解剖】スリープノーモア

スリープノーモアを初めて観る人は、「わたしは何を観ているのだろうか…?」と頭を捻りながら観る人が大半ではないでしょうか。我々2人は、前回、また前々回の観劇レポーを読み込み、またストーリーの基となった戯曲「マクベス」まで読み返してから望みましたが、それでもマクベスには登場しないサブキャラクターが登場してくると、何が起こっているのか分からなくなりました。
しかし、スリープノーモアについて知れば知る程、そのたくさんの伏線と各キャクターに魅了され、これを事前にわかっていれば、もっと楽しめたのに、、、と思うようになりました。

という事で、ここからはネタバレ中心で、謎に包まれた本作品を徹底解剖したいと思います。当日のサプライズを大切にされる方は、ここからは読まないことをお勧めしますが、せっかくの観劇を何倍も楽しむ為には、事前に重要なポイントを押さえておいても決して損はないと思います!また、既に観たことがある方は、紐解きとして一読してみてはいかがでしょうか。

The McKittrick Hotel:館内案内

まず、各フロアに何があるのかを事前に知っておきましょう。なお、2階にある発着点のバー(MANDERLEY BAR)には観劇中いつでも戻ってきて、休憩することもお手洗いに行くことも出来ます。

1階: ダンスホール、寝屋、地下聖堂
2階: マンダレイ・バー(発着点)、ロビー、お手洗い
3階: 住宅(マクダフ夫妻の部屋、マクベスの寝室)、墓地、彫刻庭園、中庭
4階: 剥製師の店、仕立屋の店、ヘカテーのバー、暗室
5階: 療養所(浴室、病床)

これだけは抑えておきたい!スリープノーモアの名シーン

Sleep No Moreは、基本的にはそれぞれのキャラクターが、それぞれの場所でストーリーを繰り広げていますが、作品のキーとなるシーンでは、全員が一堂に会したりします。以下の主要場面は3時間続くストーリーの中で、特に重要な場面なので、当日も是非押さえておきましょう。
※館内撮影不可の為、以下の画像は全てイメージ画像です。

原作である「マクベス」の第一の予言の場面。マクベスは魔女達の言葉に心躍ります。

①最初の予言

場所:2階のロビー
3人の魔女がホテルのカウンターでマクベスに第1の予言をします。魔女達はマクベスに対し「万歳、コーダーの領主よ。万歳、いずれ王になるお方よ。」と呼びかけ、バンクォーには「王にはなれないが、子孫が王になる」と予言し消え去りました。マクベスはかねてより王位への野望を心に秘めていたこともあり、魔女の予言に秘かに希望を膨らませました。

舞踏会のシーンでは、演者たちが一同に介します。このシーンが終了したら、またそれぞれ気になる演者を追いかけましょう。

②舞踏会(※3度あり)

場所:1階ダンスホール
散らばっていたキャストが一気に集合し、ダンスホールで踊るシーンです。それぞれのキャラクターを追いかけていた観客たちもおのずと集まることになります。
マクベスは2階におり、怒った様子でダンスシーンを睨んでいます。
セクシー・ウィッチがマグダフを魅了し、マグダフの妻はキャサリン・キャンベルが差し出した毒入りミルクを飲んで倒れます。
1度目の舞踏会の後、ダンカン王はマクベスに殺されます。

華々しい宴会の中、マクベスとマクベス夫人の感情が揺れ動きます。

③宴会(※3度あり)

場所:1階ダンスホール
ダンスホールに大きな横長の机が登場します。ほとんどの登場人物が席に付いた後、マクベス夫妻が現れます。バンクォーが血まみれの幽霊のような容姿で遅れて現れます。
宴会後、登場人物たちが去り、マクベス夫妻が残されますが、突然マクベスがマクベス夫人を見捨ててその場から出ていき、夫人が途方に暮れるところでシーンが終わります。

ヘカテーのバーで行われる第二の予言。激しいストロボの光が全てを包み、とにかく印象的な演出でした。

④第2の予言

場所:4階ガロウ・グリーンのヘカテーのバー(剥製店の裏)
ストロボを使った激しい演出が印象的なシーンです。
3人の魔女がヘカテーのバーに集まり、マクベスに「バンクォーに気をつけろ」という第二の予言を備えます。
ヘカテーはテーブルに座っており、事の全てを見守っています。

ストロボの強い光とともに、3人の魔女が動き出すと、マクベスがバーに飛び込んで来て、予言を受け、バンクォー殺害のために走り出します。

4階の酒場での楽しい時間はマクベスの登場により一転。Banquoは親友であるMacbethに殺される事となります。

④カードゲーム

場所:4階酒場
マルコム、バンクォー、マグダフの3人がヘカテーのバーでダンカン王の死因について語るシーンです。
3人は座り、酒を飲みながらカードゲームをしていますが、気が狂ったマクベスが突然乱入します。
マルコム、マグダフの2人は逃げましたが、残されたバンクォーはマクベスに殺されてしまいます。

Sleep No moreの登場人物とその動きを徹底解剖する

本作品は、登場人物のそれぞれの物語が、ホテルのあちこちで同時再生されるような構成になっていますが、前述したように、シェイクスピアのマクベスに登場しないオリジナルのキャラクターや、スリープノーモアの世界でのみ作り上げられている関係性も多く、マクベスを理解していてもわからない部分がたくさんあります。そこで、下記のキャラクター相関図と共に、各キャラクターの特徴を押さえておくと、一段と理解しやすくなる事間違いなしです。


スリープノーモア人物相関図

マクベス

マクベス(Macbeth)

スコットランド王ダンカンの臣下、スコットランドの将軍。3人の魔女に王になると予言され、悩んだ末、王を殺す。血で染まったマクベスが部屋へ戻り、マクベス夫人と血だらけになりながら風呂に入るシーンが印象的である。2度目の予言の後、親友のバンクォーをも殺害する。

マクベス夫人

マクベス夫人(Lady Macbeth)

マクベスの妻。
マクベス以上の野心に実行力をも兼ね備え、夫を叱咤して悪行を重ねさせる。魔女たちの予言について書かれた手紙を読み、マクベスと大喧嘩をして1人で舞踏会へ行く。マクベスが王になった後は、罪が襲いかかり、夢遊病や幻覚に襲われることとなる。

ダンカン(Duncan)

マクベスを重用していたが、マクベスに暗殺される。
他のキャストよりも少し年配の役者が演じる事が多い。自身のベッドの近くに小さな教会、本棚、暖炉がある。
ダンスシーンの前に、息子であるマルカムがダンカンの髭を剃るシーンがある。

マルカム(Malcolm)

ダンカンの長男。
父であるダンカン王が殺されたと知り、居合わせたマクダフとバンクォーと父を地下室へ運び込む。
3人はのちに酒場でカードゲームをしながら深く話し合う。
ダンスシーンではボーイ・ウィッチと踊っている。

バンクォー

バンクォー(Banquo)

スコットランドの将軍で、マクベスの友人。
魔女たちに自身の子どもたちがスコットランドを支配すると予言される。
王になった後、バンクォーと彼の子孫の存在が気になったマクベスが送り込んだ暗殺者に殺される。後に亡霊となりマクベスを脅かす。

マクダフ

マクダフ(Macduff)

スコットランドの貴族主。
ダンカン王の死体を発見する。マクベスに妻子を殺され、マクベスを仇とし、マルカムと手を組もうと試みる。

ヘカテー

ヘカテー(Hecate)

特徴:赤地に黒い羽がついた長いガウンの女性
呪術を司る女神。
全シーンを通して、悲劇のシーンを不気味に見守っている。
主に自身のバーにいる。

マクダフの妻(Lady Macduff)

特徴:妊婦。
マクベスとホテルのロビーで激しく争い、1度殺される。後に生き返り、マグダフと踊るシーンなどがあるが、ダンスシーンでキャサリン・キャンベルに毒入りのミルクを差し出され、倒れる。

ボーイ・ウィッチ(Boy Witch)

特徴:目の下に濃いめのアイシャドウをしている若い男性
3人の魔女の1人。ダンスフロアで、マルコムと唯一男性のペアとして踊っており、また、ビリヤード台で人で踊っている男性。

バールド・ウィッチ(Bald Witch)

特徴:坊主頭の女性。紺色か深緑のドレスにカツラで登場、ダンスシーンの後にカツラを取る
3人の魔女の1人。ダンスフロアでマクダフと激しい喧嘩をするのが印象的。
※その時演じる役者によるので、必ずしも坊主頭ではない

セクシー・ウィッチ(Sexy Witch)

特徴:フリルの肩紐の緑色のドレスを着ている事が多い
3人の魔女の1人。ダンスシーンでは婦人を挑発しながらマクダフと踊る。ダンスシーンの後、バンクォーに予言を与えたのもこの魔女である。
次に、キャンディーショップへ行き、マクダフに毒入りのキャンディを与える。

荷物運びの男性(Porter)

特徴:ホテルのスタッフの服装の男性
マッキトリックホテルの荷物運びの男性。
キャサリン・キャンべルとよく一緒にいる。ボーイ・ウィッチに叶わぬ恋をシているのではという説も。

キャサリン・キャンべル(Catherine Campbell)

特徴:ホテルのハウスキーパーで、メイドの格好をしている強面の女性
マクダフの妻に毒を盛ったミルクを何度も試みている。すべての時計に布をかけ、ダンカン王をベッドに寝せて、ベッドで踊り、メトロノームをセットするなど謎めいた行動が多い人物。お客さんを部屋へ引き入れて、マスクを取って話しかけることも。

仕立て屋(Tailor)

名をFultonという。剥製師の向かいに店を持っており、ヘカテーのバーに足を運んだりする。

剥製(はくせい)師(Taxidermist)

名をBargarranという。仕立て屋とよく一緒におり、剥製店の裏にあるヘカテーのバーに足を運んだりする

スリープノーモアをお勧めしたい理由

①圧倒的に他のミュージカルとは違った体験が出来る

冒頭にも示した通り、他にない体験が出来ます。
詳細ページの写真を見ると、演劇を舞台袖から見ているような感じになるのだろうか、と想像していましたが、実際はもっと「潜入型」。建物内の全てがスリープノーモアの舞台セットであり、また同時に舞台そのものになっています。館内をどう進んでも360°作品の世界で、まるで中世の絵画の世界に飛び込んだような気分になりました。そして、演者と共に、観客はこの世界の中を自由に進むことが出来ます。
他のどんなミュージカルを探しても、自分が観たい演者さんを追いかける(もしくは追いかけない)なんて、絶対に出来ない体験です!

②セリフがないので、英語に困らない

どんなに素敵なミュージカルでも、台詞がわからないとそれが少なからずストレスになってしまうものです。
しかし、スリープ・ノー・モアには台詞がありません。出演者は表情や演出、身体の動きやダンスで感情を表現するので、楽しむ為に英語が分かる、わからないは全く関係ありません。そして言葉がない分、それぞれのシーンの解釈の仕方は受け取る側次第になるのも面白いところです。

③とことん非日常を味わえる

劇場内は撮影禁止です。携帯も使わず、私語も禁じられ、一緒に来た友人とも分かれ、何時間もの間、一人で不思議な世界をさまよい歩く事は、日常とはあまりにかけ離れた経験でした。これだけ聞くと不安に思われる方もいるかもしれませんが、完全なる非日常体験中は、今までに感じたことのない高揚感がありました。みなさんもぜひ、日本の日常から、なんならニューヨークの喧騒からも離れた、中世の物語の世界へと迷い込んでみてはいかがでしょうか。

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