【日本未上陸 体験型シアター】 スリープ・ノー・モア 体験レポート

今回は話題の体験型オフ・ブロードウェイミュージカル「スリープ・ノー・モア」を観劇してきました。

ミュージカル:SLEEP NO MORE(スリープ・ノー・モア)作品概要

スリープノーモアはシェークスピアの悲劇『マクベス』をベースにした物語に、ゲストは全員「アノニマス(見えざる者)」として仮面をかぶり参加する、日本未上陸新感覚の体験型シアターです。地上6階、地下1階からなる館内にはスリープノーモア風に『マクベス』の世界観をあらわした約100の部屋があり、ゲストは自由に歩き回る事が出来ます。広い館内の中で同時進行で物語が進み、自分の進む道によってストーリーが決まる為、自分の好きな様に楽しむ事が出来ます。作品の詳細は詳細ページをご覧下さい。

スリープノーモアの会場は廃ホテル

ルーフトップバーとしても有名なGallow Green(ギャロウ・グリーン)
スリープ・ノー・モアは通常のミュージカルの様な劇場は無く、チェルシー地区にあるマッキトリックホテルというホテル館内全てが劇場となっています。マッキトリックホテルは、1939年に当時のニューヨークで最も華やかなホテルとして建設されましたが、第二次世界大戦の影響により1度もオープンを迎えることが無かった、幻のホテルです。完成から75年後の2014年から、スリープノーモアの会場として使われています。屋上にはザ・ヘルス&ガロウ・グリーン(Gallow Green)というルーフトップバーがあり緑を基調としている店内では、ブランチやディナー、バーカウンターでお酒もお楽しみ頂けます。残念ながら、今回スリープノーモアに行った後に立ち寄りましたが、満席で入ることができませんでした。

細部までこだわっている内装

マッキトリックホテルの内部はスリープ・ノー・モアのベースとなっている2つの物語シェイクスピア作の「マクベス」アルフレッド・ヒッチコック監督の映画「レベッカ」のストーリーを上手く引き出してくれる精巧な部屋ばかりです。家具や食器、トイレまで館内に有るもの全てが雰囲気を醸し出しており、自分が物語の時代にタイムスリップした様な感覚に陥ります。基本的に館内は暗いのでお化け屋敷の様な、少し怖さを感じるエリアもあります。ただ、公演時間の約3時間ホテル館内を散策するだけでも満足出来そうな巧妙なセットはより演者の演技を引き立たせるものになっています。
※ホテル館内は基本的に写真撮影はNGですので、是非実際に目で確かめに行って下さい。

スリープノーモアの入場の仕方

公式サイトから時間指定で予約をした場合、15分区切りでの時間指定となってしまいますが、自分はあっとブロードウェイ経由で手配したこともあり、19~20時の間の好きな時間で入場可能でした。

午後7時40頃に現地に到着した時は、ホテル前に70名ほどの列ができていました
今回は午後7時からの公演に行き、午後7時40分頃並び始めました。マッキトリックホテルの前には列が出来ており、この待ち時間の間に身分証の確認がありました。通常、1公演3時間となっており、初めの1時間の間ならいつでも入場可能です。1公演中に同じストーリーが3回繰り返される為、途中から入場しても物語の始まりを見ることは出来ます。ですが公演自体は既に始まっており、多少の前後はありますが終了時間はほぼ同じですので、少しでも長く滞在したい人は早目に行かれる事をオススメします。

身分証明書確認が終わったら手にスタンプを

身分証明書の確認が済むと、The McKittrick Hotel(マッキトリック ホテル)のロゴのスタンプを手の甲に押される
確認が終わると全員手の甲にスタンプを押されます。
そして、いよいよ館内に入場した所で急にガラッと雰囲気が変わります。

入場前に荷物を$4で預ける事ができる

クローク
入場途中の廊下に有るクローク
暗くなった廊下を少し歩くと右手に小さなクロークがあり、ここで荷物や上着を預ける事が出来ます預かり料金は4ドルとなっており、帰りに受ける取る際にはマナーとしてチップ1ドルを払います。そのまま真っすぐ進むと正面に小さなチェックインカウンターがあります。ここでラストネームを告げてチェックイン完了です。

チェックインが完了したらトランプを1枚もらう

クローク
受付の係員に名前を告げると、1枚のトランプをもらいます。
このトランプの数字によって初めのスタート地点が変わるのでとても重要です私のトランプは、「K」マークが無い数字の13、ダイヤでもハートでもない独特の赤いシンボルの奇妙なカードでした。
更に暗くなったくねくね道を進むと、ようやく開けた場所に出ます。

薄暗いラウンジで呼ばれるまで待機する

バーカウンターがある薄暗いラウンジで自分の番号が呼ばれるまで待つ
ロビーというよりはラウンジといった感じの場所で自分の番号が呼ばれるまで待機する事になります。バーカウンターがあるので、1杯飲んで待つ、という人がたくさんいました。バー利用は現金だとスムーズなので、さきほどのクロークに荷物を預ける予定のある人はポケットに20ドル札1枚あれば便利だと思いました。また、ロビーにはお手洗いがありますので、先に済ませておくことをおすすめします。
待合室のライブ演奏から既にスリープノーモアの世界が繰り広げられている
正面には小さなステージがあり実際に演者が歌っていますが、実はこの時既にショーは始まっているのです。呼ばれるのを待っているゲストでたくさんのロビーですが、中に演者さんが紛れてゲストと話していたりします。とても雰囲気があるのですぐ分かりました。そして、いよいよ入場メインの館内に入館します。案内役兼演者の人がステージに立ち、先程渡されたトランプの説明をし「~番の人集まって下さい」という案内があります。集まった後仮面を渡され、簡単に注意点について説明が受けます

スリープノーモアの注意点

  • アノニマス(見えざる者)として参加するので、館内で決して仮面は外さない事
  • 私語、携帯電話、スマホの使用は厳禁
  • 館内にいる黒いマスクを付けた人はスタッフ
  • いつでも途中退出も出来るので退室はご自由に

注意事項の説明が終わると、ランダムに各階にて、階段やエレベーターなどで参加者が振分けられます。私はこのタイミングで友人と離される事になりました。ここまでが実際に観劇する前までの入場の段階ですが、何が起こるか分からないドキドキ感はピークを迎えていました。

The McKittrick Hotel内の体験

ここからはネタバレ注意となります。
 ※Sleep No Moreに行こうと考えている方は読むのをやめてここから予約のお申込みをして下さい

スリープノーモアの相関図。パッと見てわかったのはマクベスとレディ・マクベス、くらいでした。
ゲストが各階に振分けられ自由行動が始まります。
思った以上に館内は全体的に暗く、この暗さが方向感覚を狂わせます。まるで迷路の様でとても広く感じました。部屋にある1つ1つの全ての家具や小道具が雰囲気を醸し出しており、一瞬でこの世界に引き込まれます。部屋ごとに異なるBGMも流れていて、聞こえる音や、おそらく予めセッティングされている匂いや温度など、全ての条件が各部屋の雰囲気が怖いほどに引き出されていました。私は最初ホテルのロビーに辿り着き、人だかりを発見し、最初に見た演者さんが妊婦の女性でした。ほぼセリフは無く、体の動きのみで表現しており、一人芝居を見ている様な感じでした。

そして演者が2,3人になるとアクロバットな無音の演技が始まります。演技というよりもダンスに近いかもしれません。流れている音楽との息はピッタリで、特にゲストとの距離がほぼ無い狭い個室のでのアクロバットな演技は圧巻です。体の動きのみであれ程の感情を感じられる演技は今まで見たことがありませんでした。飲み物を飲むシーンは本当に何か飲んでいるし、倒れ込む時は見ているこっちが心配になるくらい派手に倒れ込みます。入浴するシーンでは男性も女性も体当たりの演技をしています。間近でそれらの演技を見ることは普通のミュージカルではまず無いのでとても新鮮であり貴重な体験です。私は最初に発見した妊婦の女性について行くと大きいホールの様な所に誘導されました。そこにはもう既に200~300人のゲストが集まっており、ほとんどの人が1度集合するような形になります。そこでのシーンが終わるとまたバラバラになり、ゲストはまた演者を追いかけて鑑賞を続けます。劇中たまに演者さんに手を引っ張られ、別室に連れて行かれるゲストや、演者にタオルを渡され体を拭いてと指示されるゲストもいるようです。そうして同じ工程が3時間の公演の中で3回繰り返され、最後は役者を追いかけていくと必然的に仮面が配られたロビーへ誘導され終了です。

一緒に行った友達と離れ離れになってもラウンジで合流できる

館内では公式ガイドブックを$20で購入できる
ロビーに戻りずっとつけていた仮面を外し、自分はラウンジに戻ってすぐに友人と合流する事ができましたが、誰かと一緒に行く際は、予め合流する場所を決めておくと良いと思います。ラウンジの舞台の上では、生演奏のジャズが流れており、自分が見たシーンや役者について語り合いながら、一杯飲んでいる光景などを見かけました。一人で見に来た人や、友達同士で来た人が、初対面ながらも興奮したまま話し合っていました。私も興奮がなかなか冷めずにいたので、ラウンジで少し休憩してから出る事にしました。

スリープノーモア 公式グッズをお土産に

チェックインしたカウンターではグッズの販売が行われていました。手帳とトランプと公式ガイドブックのみでしたが、その種類の少なさが逆に高級感を感じます。グッズも含め館内の写真撮影が禁止なので、購入した公式ガイドブック以外のグッズの写真はありませんが、トランプも手帳もスリープノーモアらしいかっこいいデザインのグッズになっていました。気になるガイドブックの内容はマッキトリックホテルのフォトブックというのが一番近いかもしれません。写真以外には、制作スタッフや演者紹介が記載されています。個人的には館内の地図が一番欲しかったのですが、この冊子の中には記載がありませんでした。ネット流出などをして、今後来る人の楽しみが半減するのを防止しているのでしょうか。

スリープノーモアを楽しむために

自分の楽しみ方を見つけよう!

なるべく早く入場しましょう
チェックイン可能な時間は公演開始から1時間ですが、遅く入った分遅く出て来れる訳ではなく、入った時間帯は関係無しに同じ位の時間帯で最初のロビーに戻ってきます。1時間遅く入ると1時間分見損なうことになりますので、気をつけて下さい。

シェイクスピア作の「マクベス」とアルフレッド・ヒッチコック監督の映画「レベッカ」について下調べしましょう。
この作品のベースの物語になっている2つの物語についてあらすじを知っておくだけでも確実の楽しみ方がアップします。

・歩きやすい靴で行きましょう
部屋に入ると予想以上に歩き回りますし、役者を追いかけるに為に走っている光景も見かけます。動きやすい靴で行く事をオススメします。

さらにスリープノーモアを楽しむために

・とことん自由行動をしてみましょう
館内は禁止事項以外は基本的に自由に過ごすことができます。家具に触れてみたり、飲み物を飲んでみたり、部屋にずっと閉じこもる事も出来ます。但し、度が過ぎた行動をすると黒い仮面を被ったスタッフに止められるので注意して下さい。

・1人の演者についていこう
初めて行くと、どの様に行動するのがベストか良く分からなくなると思います。楽しみ方は個人の自由ですが、うろちょろすると中途半端な形で終了してしまいます。1度、演者と離れてしまうと他の演者を探す時間まで意外と時間がかかったりしますので、基本的には1人の演者についていくことをオススメします。

・演者の動きを先読みして至近距離で見ましょう
近くで演技を見たい方は、次に演者がどこに移動するのか予測して先回りしておくと、近くで演技を見る事が出来ます。仮面をつけた大勢の客が移動する環境なので、なかなか混雑しますので、余裕のある人は是非試してみて下さい。

Sleep No More体験後の感想まとめ

仮面とトランプとガイドブック
スリープ・ノー・モアの評判は耳に入っていたので、期待大で初めて参加してきましたが、期待を遥かに上回り、しっかりと作り込まれた世界観には驚きました。一つ一つの小道具、音楽、演出、演技のタイミングなどすべての要素がマッチしている結果だと思います。自分の目の前で役者がリアルな演技をしているにもかかわらず、舞台背景は非現実的でその融合した化学反応が観客をあの世界に引きずり込んでくれます。観劇後も余韻に浸っている自分がいました。1つ驚いたのは、着用が義務付けられている仮面が実はすごく良い働きをしてくれていた事です。
ホテルを出ると、スリープ・ノー・モアの演者3名と会えたので記念撮影
仮面をつけたくらいで何が違うの?と思う方もいるかも知れませんが、もちろんゲストと演者を見分ける意味もありますが、不思議とあの仮面をつけると他の客の事が気にならなくなり、まさに「アノニマス(見えざる者)」になっている感覚でした。この演劇のどこに楽しみを見つけるかは人それぞれだと思います。物語を楽しむのか、演技を楽しむのか、世界観を作り出している建物を楽しむのか、その楽しみを全てを感じるには1回訪れるだけでは足りない と思います。

ゲストはそれだけ楽しみ方の選択が出来るからこそ、他のブロードウェイミュージカルとの差別化になっていて、そこに人気の秘訣があり、それに惹かれリピーターとなるゲストが大勢います。正直、物語を理解するのは難しいです。セリフと言うのもが殆ど無いので、自分でそれぞれのシーンを感じ取るしかありません。ベースにしている物語自体を見に来ている人にはつまらないと感じる人も恐らくいると思います。最初に主役のマクベスに会え、主人公のストーリーを見れたから楽しかったという人や、脇役のサイド・ストーリーがとてもおもしろかったという人もいます。運と観客の感性で楽しさが決まるという点では評価は分かれるこの作品が私にはハマったので、必ず、また参加して違うストーリーを見たいと思います。もし迷って参加した末、つまんないと感じても今までに無い経験が得られる事は間違いありません。ニューヨークで何をしようか迷っている方、是非1度このホテルに足をお運び下さい。

続けて読む:
体験レポート「またSleep No Moreに行ってきた」(2018年7月23日)