リチャード・ロジャース(Richard Rodgers)とオスカー・ハマースタイン2世(Oscar Hammerstein II)から成る二人組
「ミュージカル黄金時代」と呼ばれた1940年代から1950年代のブロードウェイで、数々の名作を生み出した、現代のブロードウェイ・ミュージカルの基盤を作り上げたと言われる伝説の作曲家コンビです。
Rogers & Hammerstein コンビの経歴
別名「ロジャース&ハマースタイン(Rodgers & Hammerstein)」という名で知られている2人が生み出した作品は、「王様と私(The King and I)」「サウンド・オブ・ミュージック(The Sound of Music)」「回転木馬(Carousel)」など、文字取りのブロードウェイの名作が挙げられます。
二人は、1947年開始のトニー賞が始まる前からコンビとして作品を制作していたたため、トニー賞受賞には至らなかった作品があるにも関わらず、生涯でトニー賞34賞、アカデミー賞15賞、グラミー賞24賞、合計51の賞を受賞、さらに加えて、エミー賞そしてピューリッツァー賞までも受賞しており、20世紀最高のミュージカル・作詞作曲コンビとして、現代にもその名を轟かせています。
「Rogers & Hammerstein」としてのコンビ結成 誕生秘話

しかし、彼らが作り出した舞台は、ダンスや歌で感情の深さや複雑な心理を演出し、曲の歌詞をセリフ代わりとして物語を進行させる新しいミュージカル方式を生み出し、ブロードウェイ界に革新をもたらしました。この作品以降、コンビとして活動を開始した2人は数々の名作を世に送り出し、現代のブロードウェイ・ミュージカルの第一人者として多くの人々に愛され続けています。
誰もが知る名曲「エーデルワイス」を作曲して生涯を終える

ロジャース&ハマースタイン 二人のプロフィール
リチャード・ロジャース(Richard Rodgers)

ニューヨークのクイーンズでドイツ系ユダヤ人外科医の家庭に生まれる。1920年、コロンビア大学在学中に出会った作詞家ロレンツ・ハート(Lorenz Hart)の作曲を手掛けたことから、本格的に作曲家として活動を始める。ちなみに、ロジャースは音楽を本格的に学ぶため、今では世界大学ランキングの舞台芸術(Performing Arts)部門で1位を獲得したことで知られる名門校ジュリアード音楽院(当時のthe Institute of Musical Art)にも通っていました。その後、ロジャースとハートはコンビを組み、1年に2作のペースで新作を発表し、彼の名が世間に知れ渡るようになる。
しかし、1943年にロレンツ・ハートが亡くなり、一時期活動が停滞するも、その後コンビを組んだ作家のオスカー・ハマースタイン2世ともに、ブロードウェイにおいて数々の不朽の傑作ミュージカルを生み出す。1979年にロジャースは77歳でその生涯を閉じるが、1990年に彼のブロードウェイへの多大な貢献をたたえ、大手劇場運営会社のネダーランダー・オーガニゼーション(Nederlander Organization)が46丁目劇場を彼の名を冠したリチャード・ロジャース劇場(Richard Rodgers Theatre)へと改称しました。トニー賞、グラミー賞、アカデミー賞、エミー賞、ピュリツァー賞のすべて受賞したのは、このリチャード・ロジャースと同じく作曲家のマーヴィン・ハムリッシュ(Marvin Hamlisch)の合わせてたった二人しか存在しない。
オスカー・ハマースタイン2世(Oscar Hammerstein II)

ニューヨークでユダヤ系ドイツ人家庭に生まれる。祖父オスカー・ハマースタイン1世(Oscar Hammerstein)はメトロポリタン・オペラ劇場を建築、父は劇場主として劇場一家で育った彼は、幼い頃から劇場に通い詰め、コロンビア在学中から学生劇で脚本を書くなど才能を開花する。やがて、ブロードウェイで作詞を手がけるようになったハマースタイン2世は、1927年に作曲家ジェローム・カーン(Jerome Kern)と組んだ「ショーボート(Show Boat)」が大ヒットし、一躍時の人になる。ちなみに、この「ショーボート」が、アメリカンコメディや人種問題、アルコール中毒などの社会問題を取り入れた最初のミュージカルと言われており、ストーリーに沿いながら舞台が進む現代のブロードウェイ・ミュージカルが誕生したとされている。
しかし、その後名作に恵まれずにいたハマースタイン2世は、世間では忘れられた存在となっていたが、1943年にコンビを組んだ作曲家リチャード・ロジャースとともに数々の名作を生み出し、現代のブロードウェイの基盤を築き上げた第一人者として、今もなお受け継がれている。
ロジャース&ハマースタインが手がけた作品一覧
初演:1943年3月31日 オクラホマ!(Oklahoma!) |
アカデミー賞:ミュージカル映画音楽賞/録音賞受賞 名曲:Oh What a Beautiful Morning(試聴 ▶) |
初演:1945年4月19日 回転木馬(Carousel) |
第48回トニー賞:5部門ノミネート、内4部門受賞(1994年リバイバル作品) 第72回トニー賞:11部門ノミネート、内2部門受賞(2018年リバイバル作品) 名曲:If I Loved You(試聴 ▶) |
初演:1949年4月7日 南太平洋(South Pacific) |
第3回トニー賞:装置デザイン賞受賞 ピューリッツァー賞:戯曲部門受賞 名曲:Bali Ha’i(試聴 ▶) |
初演:1951年5月29日 王様と私 (The King and I) |
第6回トニー賞:5部門受賞 アカデミー賞:アカデミー主演男優賞受賞、主演女優賞ノミネート 名曲:Shall We Dance(試聴 ▶) |
初演:1957年3月31日 シンデレラ(Cinderella) |
名曲:My Own Little Corner (試聴 ▶) |
初演:1958年12月1日 フラワー・ドラム・ソング (Flower Drum Song) |
第13回トニー賞:8部門ノミネート、内1部門受賞 名曲:I Enjoy Being A Girl(試聴 ▶) |
初演:1959年11月16日 サウンド・オブ・ミュージック (The Sound of Music) |
第14回トニー賞:8部門ノミネート、4部門受賞 アカデミー賞:5部門受賞 名曲:The Sound of Music(試聴 ▶) |