今回は話題の体験型オフ・ブロードウェイミュージカル「スリープ・ノー・モア」を観劇してきました。
ミュージカル:SLEEP NO MORE(スリープ・ノー・モア)作品概要
スリープノーモアはシェークスピアの悲劇『マクベス』をベースにした物語に、ゲストは全員「アノニマス(見えざる者)」として仮面をかぶり参加する、日本未上陸新感覚の体験型シアターです。地上6階、地下1階からなる館内にはスリープノーモア風に『マクベス』の世界観をあらわした約100の部屋があり、ゲストは自由に歩き回る事が出来ます。広い館内の中で同時進行で物語が進み、自分の進む道によってストーリーが決まる為、自分の好きな様に楽しむ事が出来ます。作品の詳細は詳細ページをご覧下さい。
スリープノーモアの会場は廃ホテル
細部までこだわっている内装
マッキトリックホテルの内部はスリープ・ノー・モアのベースとなっている2つの物語シェイクスピア作の「マクベス」とアルフレッド・ヒッチコック監督の映画「レベッカ」のストーリーを上手く引き出してくれる精巧な部屋ばかりです。家具や食器、トイレまで館内に有るもの全てが雰囲気を醸し出しており、自分が物語の時代にタイムスリップした様な感覚に陥ります。基本的に館内は暗いのでお化け屋敷の様な、少し怖さを感じるエリアもあります。ただ、公演時間の約3時間ホテル館内を散策するだけでも満足出来そうな巧妙なセットはより演者の演技を引き立たせるものになっています。
※ホテル館内は基本的に写真撮影はNGですので、是非実際に目で確かめに行って下さい。
スリープノーモアの入場の仕方
公式サイトから時間指定で予約をした場合、15分区切りでの時間指定となってしまいますが、自分はあっとブロードウェイ経由で手配したこともあり、19~20時の間の好きな時間で入場可能でした。
身分証明書確認が終わったら手にスタンプを
入場前に荷物を$4で預ける事ができる
チェックインが完了したらトランプを1枚もらう
薄暗いラウンジで呼ばれるまで待機する
スリープノーモアの注意点
- アノニマス(見えざる者)として参加するので、館内で決して仮面は外さない事
- 私語、携帯電話、スマホの使用は厳禁
- 館内にいる黒いマスクを付けた人はスタッフ
- いつでも途中退出も出来るので退室はご自由に
注意事項の説明が終わると、ランダムに各階にて、階段やエレベーターなどで参加者が振分けられます。私はこのタイミングで友人と離される事になりました。ここまでが実際に観劇する前までの入場の段階ですが、何が起こるか分からないドキドキ感はピークを迎えていました。
The McKittrick Hotel内の体験
ここからはネタバレ注意となります。
※Sleep No Moreに行こうと考えている方は読むのをやめてここから予約のお申込みをして下さい
そして演者が2,3人になるとアクロバットな無音の演技が始まります。演技というよりもダンスに近いかもしれません。流れている音楽との息はピッタリで、特にゲストとの距離がほぼ無い狭い個室のでのアクロバットな演技は圧巻です。体の動きのみであれ程の感情を感じられる演技は今まで見たことがありませんでした。飲み物を飲むシーンは本当に何か飲んでいるし、倒れ込む時は見ているこっちが心配になるくらい派手に倒れ込みます。入浴するシーンでは男性も女性も体当たりの演技をしています。間近でそれらの演技を見ることは普通のミュージカルではまず無いのでとても新鮮であり貴重な体験です。私は最初に発見した妊婦の女性について行くと大きいホールの様な所に誘導されました。そこにはもう既に200~300人のゲストが集まっており、ほとんどの人が1度集合するような形になります。そこでのシーンが終わるとまたバラバラになり、ゲストはまた演者を追いかけて鑑賞を続けます。劇中たまに演者さんに手を引っ張られ、別室に連れて行かれるゲストや、演者にタオルを渡され体を拭いてと指示されるゲストもいるようです。そうして同じ工程が3時間の公演の中で3回繰り返され、最後は役者を追いかけていくと必然的に仮面が配られたロビーへ誘導され終了です。
一緒に行った友達と離れ離れになってもラウンジで合流できる
スリープノーモア 公式グッズをお土産に
チェックインしたカウンターではグッズの販売が行われていました。手帳とトランプと公式ガイドブックのみでしたが、その種類の少なさが逆に高級感を感じます。グッズも含め館内の写真撮影が禁止なので、購入した公式ガイドブック以外のグッズの写真はありませんが、トランプも手帳もスリープノーモアらしいかっこいいデザインのグッズになっていました。気になるガイドブックの内容はマッキトリックホテルのフォトブックというのが一番近いかもしれません。写真以外には、制作スタッフや演者紹介が記載されています。個人的には館内の地図が一番欲しかったのですが、この冊子の中には記載がありませんでした。ネット流出などをして、今後来る人の楽しみが半減するのを防止しているのでしょうか。
スリープノーモアを楽しむために
自分の楽しみ方を見つけよう!
・なるべく早く入場しましょう
チェックイン可能な時間は公演開始から1時間ですが、遅く入った分遅く出て来れる訳ではなく、入った時間帯は関係無しに同じ位の時間帯で最初のロビーに戻ってきます。1時間遅く入ると1時間分見損なうことになりますので、気をつけて下さい。
・シェイクスピア作の「マクベス」とアルフレッド・ヒッチコック監督の映画「レベッカ」について下調べしましょう。
この作品のベースの物語になっている2つの物語についてあらすじを知っておくだけでも確実の楽しみ方がアップします。
・歩きやすい靴で行きましょう
部屋に入ると予想以上に歩き回りますし、役者を追いかけるに為に走っている光景も見かけます。動きやすい靴で行く事をオススメします。
さらにスリープノーモアを楽しむために
・とことん自由行動をしてみましょう
館内は禁止事項以外は基本的に自由に過ごすことができます。家具に触れてみたり、飲み物を飲んでみたり、部屋にずっと閉じこもる事も出来ます。但し、度が過ぎた行動をすると黒い仮面を被ったスタッフに止められるので注意して下さい。
・1人の演者についていこう
初めて行くと、どの様に行動するのがベストか良く分からなくなると思います。楽しみ方は個人の自由ですが、うろちょろすると中途半端な形で終了してしまいます。1度、演者と離れてしまうと他の演者を探す時間まで意外と時間がかかったりしますので、基本的には1人の演者についていくことをオススメします。
・演者の動きを先読みして至近距離で見ましょう
近くで演技を見たい方は、次に演者がどこに移動するのか予測して先回りしておくと、近くで演技を見る事が出来ます。仮面をつけた大勢の客が移動する環境なので、なかなか混雑しますので、余裕のある人は是非試してみて下さい。
Sleep No More体験後の感想まとめ
ゲストはそれだけ楽しみ方の選択が出来るからこそ、他のブロードウェイミュージカルとの差別化になっていて、そこに人気の秘訣があり、それに惹かれリピーターとなるゲストが大勢います。正直、物語を理解するのは難しいです。セリフと言うのもが殆ど無いので、自分でそれぞれのシーンを感じ取るしかありません。ベースにしている物語自体を見に来ている人にはつまらないと感じる人も恐らくいると思います。最初に主役のマクベスに会え、主人公のストーリーを見れたから楽しかったという人や、脇役のサイド・ストーリーがとてもおもしろかったという人もいます。運と観客の感性で楽しさが決まるという点では評価は分かれるこの作品が私にはハマったので、必ず、また参加して違うストーリーを見たいと思います。もし迷って参加した末、つまんないと感じても今までに無い経験が得られる事は間違いありません。ニューヨークで何をしようか迷っている方、是非1度このホテルに足をお運び下さい。