アンバサダー・シアター・グループの解説

Ambassador Theatre Group – ブロードウェイミュージカルの運営会社案内

ブロードウェイミュージカルのアンバサダー・シアター・グループ

アンバサダー・シアター・グループ(ATG)の基本情報

アンバサダー・シアター・グループ(Ambassador Theatre Group)はロンドンの劇場街が有名な地区ウエスト・エンド発祥の劇団で、ウエストエンドで最も多くの劇場所有している劇場運営会社です。全世界各地で合計43劇場を所要し、ウエスト・エンドでは12劇場、ブロードウェイでは3劇場を所有・運営をしており、劇団名を省略して「ATG」の愛称で知られています。

また、劇場運営だけでなく劇団独自のチケット販売に加え、英国とブロードウェイでのミュージカル制作とイギリス、北アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、アジアの地域でミュージカルツアー公演も行っており、世界を股にかけて活躍しています。

ウエスト・エンドとは

ロンドン版、ブロードウェイ劇場街

ウエスト・エンド・シアター番街 ウエスト・エンド(West End)とは、イギリスを代表するエンターテイメント地区の名前です。ブロードウェイと並ぶ大規模なミュージカル劇場街として、多くの主要劇場を始め、映画館、レストラン、ホテル、娯楽施設が集結しています。

ウエスト・エンドとブロードウェイの違い

シアターランド地区の駅の看板 ニューヨークを代表するブロードウェイは、1950年代のミュージカル映画が登場した時代から人気が出始め、主にダンスを重要視した軽快で愉快な曲のミュージカル作品が多いのが特徴的です。1994年からは「アラジン」や「ライオンキング」などといったディズニーブロードウェイが参入したことによって、大人だけではなく子どもと一緒に楽しむことができるミュージカルへと変化していきました。

一方のウエスト・エンドは、1980年代に登場した「レ・ミゼラブル(Les Miserables)」やアンドリュー・ロイド=ウェバー氏による「キャッツ」「オペラ座の怪人」の登場によって、世界を代表するミュージカル地区へと変貌しました。舞台は、主に音楽やストーリーを重要視し、ドラマチックな落ち着いた雰囲気の展開や現実社会に起こる問題をテーマにした作品が多いのが特徴的です。

また2つの劇場街は、劇場で囲まれるエリアの形成方式が異なります。ブロードウェイは、40から成る劇場がタイムズ・スクエアを囲むよう劇場が立ち並んでいるのに対して、ウエスト・エンドは、50ほどの劇場が4つの地域に分かれて点在しています。シアターランドの中でも特に劇場が集結している地区は4つに分かれており、劇場地区として認定されいてる地域の駅の看板には「Theater Land」と記載がされています。

アンバサダー・シアター・グループ(ATG)の歴史

1992年に設立したアンバサダー・シアター・グループ

ロンドンのアンバサダーズ劇場 1992年に設立したアンバサダー・シアター・グループ(The Ambassador Theatre Group)は、夫婦であるハワード・パンター(Howard Panter)とローズマリー・スクワイア(Rosemary Squire)によって立ち上げられました。

元々、劇場プロデューサーとして演劇制作を行っていたハワード・パンターは、「サリー(Surrey)」と呼ばれる4輪馬車を使用した劇場送迎の事業を立ち上げるため、1986年に「ベックウィズ社(The Beckwiths’ company)」を立ち上げました。メンバーに、当時ウエスト・エンドの劇場運営会社「Maybox Group PLC」で責任者をしていた妻ローズマリー・スクワイアと劇場プロデューサーのエディー・クルクンディス(Eddie Kulukundis)とジョン・ベックウィズ(John Beckwith)を率いれ、劇場マネージメントなどの業種にも乗り出します。その後、ハワード・パンターは、自身の演劇制作経験と劇場マネージメントを組み合わせた事業を行うため、1992年にデューク・オブ・ヨーク劇場(Duke of York’s Theatre)を買収するのと同時に劇場運営会社「アンバサダー・シアター・グループ(The Ambassador Theatre Group)」を設立しました。劇場運営会社として劇場運営の保持だけでなく、演劇制作やチケット販の全てのマーケティングと連携して事業を行うことを目的としたビジネスモデルを確立しました。

劇場運営に成功したアンバサダー・シアター・グループは、1995年に2つめの所有劇場となるロンドンのアンバサダーズ劇場(Ambassadors Theatre)を買収しました。1913年に建設されたアンバサダーズ劇場は、世界最長のロングラン記録を持つアガサ・クリスティ(Agatha Christie)作の演劇「ねずみとり(The Mousetrap)」の初演を行ったことでも有名で、1952年の初演から1974年まで約21年間にも渡り公演を行いました。1997年から1999年にかけては、ウエスト・エンド中心部だけでなく、ロンドンの北西に位置するミルトン・キーンズ(Milton Keynes)やストーク=オン=トレント(Stoke-on-Trent)で3つの劇場運営を開始します。

ウエスト・エンドに13劇場をもつ巨大劇場運営会社に

2000年代に入るとアンバサダー・シアター・グループは、ウエスト・エンドの7つの劇場を一気に買収し、ウエスト・エンドでの所有劇場は合計13劇場にまで達しました。また、ウエスト・エンドに限らず他地域での劇場買収も持続して行っていた劇団は、2009年にロンドンの大手チケット販売会社「Live Nation UK」から、彼らが所有していたイギリス各地16ヶ所の劇場やライブ会場を約9000万ポンド(日本円:約133億968万円)で購入するなどして、イギリスの主要劇場運営会社としての地位を確立しました。

さらに、イギリス国内で最大の規模を誇る運営会社に登りつめた設立者ハワード・パンターとローズマリー・スクワイアは、2010年から2016年の間に、英国の著名な劇場の人物として称される「ステージ100(Stage 100)」に選ばれました。

ブロードウェイそして世界への進出

2013年 リリック劇場を買収し、ブロードウェイに進出

ブロードウェイ リリック劇場(Lyric Theatre)の入口 2012年にアンバサダー・シアター・グループは、オーストラリアと中国で劇場の所有権を拡大する意向を示し、同年11月にシドニーに地域本部を設置、イギリス国内だけでなく世界各地へと進出を開始します。さらに、2009年から劇場買収を一旦中止していた劇団は、2013年に劇団初となるフォックス・ウッズ劇場を買収し、ニューヨーク・ブロードウェイへの進出を果たします。

アンバサダー・シアター・グループは劇場買収後、劇場名を現在の「リリック劇場(Lyric Theatre)」に改名し、改装工事を行いました。外観のデザインは、1903年に建設された旧リリック劇場のデザインをモチーフにし、かつての劇場の姿が忠実に再現されています。また、リリック劇場は、ブロードウェイの劇場で2番目に客席数が巨大な劇場で、その天井がとても高い事から、ワイヤーアクションを利用したアクロバティック演出を可能にした劇場として知られています。

2015年 オフ・ブロードウェイの劇場を買収

2015年9月にアンバサダー・シアター・グループは、ニューヨークの劇場運営会社「ACE Theatrical Group」を買収し、同社が所有していた「キングス劇場(King’s Theatre)」の運営を開始しました。また、同年の2015年12月には、子会社である「Hudson Theatre LLC」を通じて、オフ・ブロードウェイ劇場「ハドソン劇場(Hudson Theatre)」の運営権の長期契約を決定しました。

ブルックリンにあるキングス劇場

キングス劇場(King’s Theatre)

住所:1027 Flatbush Ave, Brooklyn, NY 11226

1929年に大衆向けの演劇を行う小劇場「ボードビル(Vaudeville)」や映画館としてニューヨークのブルックリンに開業。2015年にアンバサダー・シアター・グループは約95億ドル(日本円:約1兆157億万)を掛けて再構築を行いました。現在この劇場は、約3,000名が収容できるライブ会場として使用されています。
マンハッタンにあるハドソン劇場

ハドソン劇場(Hudson Theatree)

住所:141 W 44th St, New York, NY 10036

ハドソン劇場は、1903年にブロードウェイ初となる女性劇場プロデューサーが建築した劇場です。2015年に41つ目のブロードウェイ劇場として正式に登録され、トニー賞対象劇場として認可されました。正式にブロードウェイ劇場と認可されたことで、約115年以上の歴史を持つ最古のブロードウェイ劇場となりました。その後改装工事が行われ、2017年2月11日にブロードウェイで一番新しい劇場としてリニューアルオープンしました。

アンバサダー・シアター・グループの業務内容

アンバサダー・シアター・グループは、劇場運営以外にも、以下のように様々な事業を行っています。

本国イギリスにて映画館の運営

劇場以外に3つの映画館をイギリスで所有しています。いずれの映画館も収容人数1,000人程で、ロンドン中心部ではなく郊外に位置します。
①アンバサダー映画館(Ambassador Cinemas)
②ザ・ニュー・ビクトリー劇場(New Victoria Theatre)
③ローダ・マグロー劇場(Rhoda McGaw Theatre)

ウエスト・エンド以外のミュージカルも制作

アンバサダー・シアター・グループはミュージカル制作も行っており、本拠地とするウエスト・エンドでの演劇・ミュージカル制作は勿論のこと、ブロードウェイやオーストラリアでもミュージカル制作を行っています。

ブロードウェイでの代表作品は、渡辺謙主演で話題となった2015年4月16日公演のリバイバル作品「王様と私(The King and I)」です。本作品は同年の2015年トニー賞授賞式で4部門をノミネートし、ミュージカル・リバイバル作品賞を含む4部門で受賞しました。渡辺謙はミュージカル主演男優賞にノミネートされ受賞には至りませんでしたが、日本人としては1976年以来の42年ぶりとなる快挙となりました。また、主演女優を演じたケリー・オハラ(Kelli O’Hara)は、本作品で6度目のノミネートを受け、ついにこのトニー賞で念願のミュージカル主演女優賞を獲得しました。

社従業員向けサービス:ATG Tcikets

一般チケット以外に、自社で働く社員に向けたチケットサービスを提供しており、自社で運営される会員専用ウェブサイト「ATG Tickets」を通じてチケットの先行発売や特典キャンペーンを行っています。2008年から開始されたこのサイトは、現在年間2,000万回のアクセス数を記録し、ウエスト・エンドを代表する劇場チケット発行ウェブサイトとなっています。

また、ウエスト・エンドで先駆者としてマーケティング活動を行うアンバサダー・シアター・グループは、2010年にホレス・シルバー・メダル・スポンサーシップ賞(the Hollis Silver Medal Sponsorship Award)を受賞、2012年にはメディア・ウィークス・ナショナル・メディア・コラボレーション・オブ・ザ・イヤー賞(Media Week’s National Media Collaboration of the Year Award)を受賞するなど、チケット販売のサポート会社として、ウエスト・エンドを支えています。

アンバサダー・シアター・グループのが所有するブロードウェイ劇場リスト

ブロードウェイの劇場会社、アンバサダー・シアター・グループが運営しているブロードウェイの劇場一覧です。リンク先にて、各劇場の詳細を確認できます。

ブロードウェイミュージカル 割引チケット 絶賛発売中!

ブロードウェイミュージカルのチケットを、日本にいながら日本語で、どこよりも安く速く安心してご購入頂けます

  1. 割引チケットを即購入・即確約
  2. ご購入後でもキャンセルが可能
  3. ご予約からご入場まで安心の日本語サポート