ミュージカル 恋のためらい フランキーとジョニー(Frankie and Johnny)チケットと観劇レポート

ミュージカル「恋のためらい フランキーとジョニー(Frankie and Johnny)」感想

1991年に公開された映画「恋のためらい/フランキーとジョニー」がついにブロードウェイに登場!
しかも主演はなんと、数々の大ヒット映画に出演している人気ハリウッド俳優、マイケル・シャノンです。マイケルは、映画「パール・ハーバー」に出演していたり、大ヒット映画「スーパーマン(マン・オブ・スティール)」の敵役や、アカデミー賞受賞作品「シェイプ・オブ・ウォーター」の悪役として出演していた有名な俳優さんです。
ハリウッド俳優出演のプレイ(劇)ということもあり、大人気な作品となっているミュージカル「恋のためらい フランキーとジョニー」を今回は観劇してきました。

フランキーとジョニー(Frankie and Johnny)について

多忙なハリウッド俳優2名が出演する劇という事もあって、今作品は、2019年8月25日までの期間限定公演となっています。

原作は1987年にオフ・ブロードウェイで初演された同タイトルの2人芝居です。ちなみにこの初演で演じていたのは、イーディ・ファルコ(Edie Falco)とスタンリー・トゥッチ(Stanley Tucci)で、当時は駆け出しの俳優だったそうですが、今では2人とも有名な映画俳優として知られています。

特にスタンリー・トゥッチはハリウッド映画にたくさん出演しているので知っている人も多いはずです。ちなみに、1966年にエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)が主演の同タイトル映画とは関係がないのですが、映画の挿入歌がしばしば使われているそうです。

1991年にアル・パチーノ(Al Pacino)とミシェル・ファイファー(Michelle Pfeiffer)主演で映画化され、互いに傷をもつ者同士による疲れた大人のラブ・ロマンスという事で話題になりました。日本での邦題は『恋のためらい フランキー&ジョニー』で、アル・パチーノが好演した事もあり、日本でもヒットしました。

ブロードハースト劇場にてフランキーとジョニーが上演
映画のあらすじは、刑務所から出てきたばかりのどうしようもない中年男:ジョニーがレストランで働き出し、そこで出会った女性:フランキーと、ふとした事から一夜を共に過ごすところから始まります。

ジョニーはフランキーに本気でアプローチを仕掛けますが、彼女は一切応えてくれません。というのもフランキーが昔付き合っていた男性から心身共に深い傷を受けていた事を知らずに、ジョニーは自己中心に話を進め、彼女の心に土足で踏み込むように迫り入ってしまっていたからです。

完全にすれ違ってしまった2人でしたが、ある日ラジオで、ジョニーがフランキーのためにリクエストした彼女のお気に入りの曲を聞いて、2人の関係が進展していく…というものですが、今回の劇は、映画の面影は無く、オリジナルの2人芝居を忠実に再現している内容となっています。

フランキー&ジョニーはブロードハースト劇場で公演中

ブロードハースト劇場(Broadhurst Theatre)

ブロードウェイ劇場街ど真ん中にあるブロードハースト劇場
ブロードウェイの劇場街を仕切っていたシューベルト兄弟が、1917年に有名建築家:ハーバード・クラップ(Herbert J. Krapp)に依頼して建てた劇場で、華やかな装飾は無く、商業的な目的で建設した非常にシンプルな造りの劇場です。

住所:235 W 44th St, New York, NY 10036

ブロードウェイにある劇場の中ではかなり珍しい、シンプルなレンガ調のスタイルが特徴のブロードウェイ劇場について詳しくは、以下のページをご参照下さい。

ブロードハースト劇場の1階席はとても平たい

ブロードハースト劇場(Broadhurst Theatre)の1階席
劇場に入ってまず思う事は、一階席のフロアが非常に平たいという事です。傾斜がほぼなく、前に座る人によっては遮られてステージが見えなくなると思いました。

高さもそこまでない劇場なので、1階席の後方だと、2階席の屋根がかなり近く、覆いかぶさるので、圧迫感を感じました。さすが商業目的でシンプルに作った劇場だなぁと思いました。ただ1階席の中腹くらいまでだったら、圧迫感もなく開放的、かつ、少し傾斜があるのでまだ見やすいかなと思いました。

飲み物と物販は地下に行こう

公式グッズ
期間限定公演という事で、そこまでたくさんの物販はありませんが、Tシャツ、キャップ、マグカップなど、一通りのグッズが販売されています。

ミュージカルではないのでサントラCDの販売はなく、代わりに舞台原作者であるテレンス・マクナリー氏(Terrence McNally)の本が販売されていました。

今回、私は安定のビール(コロナ:$15)だけ購入し、物販は何も買わず、となりました。

ブロードハースト劇場の内装は地味でした

非常にシンプルな内装
シューベルト兄弟の作戦で、商業的な目的で作られた劇場である事が、中に入るとひと目で分かります。他の劇場に比べて、彫刻や装飾も少なく、天井や壁の色も茶色、ベージュを基本とした非常に質素なデザインでした。

その分、ブロードウェイでは当たり前のシャンデリアが豪華に映えて見えてしまう程です。劇場内はもちろん、ロビーや地下にもたくさんのシャンデリアが吊るされています。

劇場名の由来は、脚本家のジョージ・ブロードハースト(George Howells Broadhurst)から取られたそうです。

今回の座席はココでした

チケット券面 ORCHE K 8 の場合:

ORCHE K 8から見た景色
Orchestr Even = 1階オーケストラ席 偶数列
K8 = K列(前から11列目)のシート番号8(通路から4席目)


間違い発見! なんと、初めて見ましたが、シート番号が偶数(Even)なので、OCHE(または右側の意味でOCHR)と記載されないといけない所を「OCHO」(Odd=奇数)とミスプリントされていました。まぁ、無事に座れたので問題ないのですが…。

観劇後の楽しみ方!キャストの出待ちを体験

今回はハリウッド俳優に会えるかも!と思って気合を入れて、公演終了と共に、正面玄関から出て右側のキャスト出入り口にダッシュしました。ちゃっかり油性マジックもオフィスから持ってきて、Playbill(劇場でもらえる冊子)は、シワがつかないように綺麗に公演中も手に持っていましたので準備万端で待機していました。

キャデラックエスカレードが2台
ハリウッド俳優の出演という事で、ボディガードがいたり、黒塗り車が待機してるのかな、とか思っていたら、まさに予想通り。

入り口正面にドーンと、黒いキャデラックエスカレードがスタンバイしており、しかも2台待機していました。1台はもちろんマイケル用で、もう1台は相手役の女優:オードラ・マクドナルド(Audra McDonald)用だな、とすぐに分かりました。

ちなみに彼女もエマ・ワトソン主演の映画「美女と野獣(Beauty and the Beast)」に出演するくらいの女優さんなので、エスカレード出迎えは当たり前ですね…。

今回、私はカーテンコールを見ることなく、公演終了直後に鬼ダッシュして柵まで飛んで行きました。15分ほど経過しても来ず、20分経過しても眼の前には黒いキャデラックがまだ待機しているのでまだ帰っていないはず…と思いながら、待つことさらに10分。
マイケル・シャノン
ボディガードと、劇場係員の2人に見守られながら、マイケル・シャノン登場!身長198cmは嘘じゃなかったということは、彼を目の前にしてすぐに確認出来ました。公演後に一杯飲んだのか、演技で力んだ後なのか、顔を真っ赤にしての登場でした。

しかも、通常の出入り口が出てきて、一旦外に出てから柵の中に入るという…。赤いTシャツに黒のダウン、足元はコンバースのスニーカーと、ある意味ハリウッド俳優らしく、とてもラフな感じでした。その表情は、全力で演技をした後の疲労感を出しつつ、乱れた髪のまま、マイケルらしい終始しかめ面をしているようでした。その後すぐにスタッフからマーカーを受け取り、サイン会がスタート。

私とスタッフ水木は、完璧なミーハーな者ではありましたが、カットなしのぶっ続けで2時間を超える演技に感動を覚えた直後だったので、この時点でとても興奮してしまいました。一人ずつに挨拶して、観客から語りかけられる言葉に耳を傾けて回答し、最後まで紳士な対応をしていました。

※クリックして画像を拡大

フランキーとジョニー 観劇後の感想まとめ

この2時間に及ぶ劇では、たった2人の登場人物が、シーン展開なしカットなし、文字通り「ぶっ続け」でやり切る完全な2人芝居でした。素人目線でまず思う事は、どうやったら2時間喋りっぱなしのセリフを覚えれるのだろう…という事です。

舞台セットはアパート(ワンルーム)の1つ
フランキーのベットルームが舞台となっていますが、写真を見ても分かるように非常にシンプルで、最初から最後までこのセットのままやり切ってしまうとは、序盤では想像もしていませんでした。2人がこの部屋に転がり込んでから夜が明けるまでの短い時間の中で、お互いを知りながら好きになっては嫌いになっての繰り返し。喜怒哀楽の連続で、非常に起伏が激しい熱演が続きました。

途中でアメリカらしいジョークを連発したり、観客を笑わせるシーンも多くありましたが、2人の会話は、すれ違いを繰り返したままで前半が終わり、私もスタッフ水木も「この劇は一体何を伝えようとしているのか?」と混乱したままでした。

この劇の正式タイトルは「Frankie and Johnny in the Clair de Lune」となっているのですが、「Clair de Lune」は、フランス語で「月明かり」という意味らしいです。タイトルを見る限り、なんか素敵な恋の劇になりそうな予感がしていましたが、前半では完全にこれが裏切られ、自己中心なジョニーの一方的なアプローチと、拒絶を繰り返すフランキーの攻防劇で前半が終了してしまいました。

今まで無駄にした時間をこれから取り戻せる

すれ違いを続ける2人が、どこで心を通わせてハッピーエンドになるのか、私とスタッフ水木は、疑問を持ちながらも後半に期待して、席につきました。しかし、相変わらず一方的なジョニーに、怒って家を出て行こうとするフランキー。

そんな中、ジョニーが自身の辛い過去について話し出し、ここで会場が一気に静まり返りました。続いてフランキーも、今でも引きずっている過去についてカミングアウトし、シンプルなワンルームアパートの舞台セットが目に入らくなるほど、「ただ傷ついた者同士が微妙な距離感で何かを模索している」という、非常に不思議な空間が生まれました。

そこで、「今まで時間を無駄にして生きてきたけど、ここから2人で生きていけば全てを取り戻せるんだ。」とジョニーが言い出し、人生を諦めていたフランキーの心が動き出す場面で、やっとこの劇の本筋が分かりました。心底ボロボロの女性の姿を演じたオードラ・マクドナルドの涙ながらの演技が、会場全体を完全に沈黙させたのを、今も鮮明に覚えています。

待機していたキャデラックのSUV(エスカレード)に乗り込んだマイケル・シャノン
主演のマイケル・シャノンが、過去にアカデミー賞で助演男優賞に二度ノミネート(2008年と2016年)、ゴールデングローブ賞ノミネート(2014年)、舞台では「Long Day’s Journey Into Night」でトニー賞助演男優賞にノミネート(2016年)など、輝しい経歴を持っているのは、歌って踊る綺羅びやかなミュージカル俳優とはまた違った「泥臭くも生粋の舞台俳優」であることを、この濃厚な2時間の劇で身をもって感じることが出来ました。

ぶっ続けの演技の中で、笑って、怒って、叫んで、最後に泣いて、一体どれだけのエネルギーを舞台の上で消費しているのだろうかと考えてしまいました。
マイケル・シャノンの直筆サインをゲット
最初は、あくまで一晩限りの関係の赤の他人である2人が、夜が明ける頃には、まるで長年連れ添った夫婦かの様に見えたのが印象的で、かつ、とても不思議な感覚でした。あくまで「ハリウッドスターに会える!」と完全なミーハーな気持ちで見に行った私達ですが、「憑依型」とか「迫真」とかいう言葉を越えた、

とてつもない役者魂を間近(しかも生のライブ)で2時間も観れたことで、舞台俳優の底力を目の当たりにして体験できたような気がします。マイケル・シャノンがハリウッドスターである事は間違いないのですが、彼が魂のこもった舞台俳優であると再認識した後に、手に入れたこのサインは新しい宝物となりました。

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