ミュージカル キンキーブーツ(Kinky Boots)チケットと観劇レポート

ミュージカル「キンキーブーツ」感想

2013年度のトニー賞ミュージカル作品賞を受賞した人気ミュージカル「キンキーブーツ(Kinky Boots)」。この度ようやく我々も念願のキンキー・ブーツデビューを果たす事ができました。
分かりやすいストーリーと派手なダンスと衣装。どうしてここまで引き込まれ、時間を忘れて、心から楽しむ事ができるのか…。私なりに感じたその理由をしっかりレポートしたいと思います。また、今回もバッチリ出待ちで主役2人とヒロインにも出会う事が出来ましたので、そちらもしっかり紹介させていただきます!

キンキーブーツ(Kinky Boots)について

ミュージカルの原作となるのは2005年に公開された同タイトルの映画(米英合同製作)で、翌年に早くも舞台化の話が持ち上がりました。実際に今でも存在する老舗靴メーカー「W・J・ブルックス社(W. J. Brookes Limited)」のスティーヴ・ペイトマン氏の実話を元に書かれた本作品は、錆びれた靴工場がドラァグクイーンとの出会いによって生まれ変わり、差別や偏見に直面しながらも乗り越えていく様をコミカルに描いています。

映画が公開された翌年には舞台化の話が持ち上がり、2010年には舞台製作チームが結成され、2012年のシカゴの劇場でトライアウトを経て、2013年にブロードウェイ・デビューとなって今日に至ります。5年以上経過してもなお人気の理由の1つには、アメリカの80年代ポップ・ロック・シーンを切り開いた大御所るシンディーローパー(Cyndi Lauper)が、このミュージカルの全楽曲を書き下ろした、という点があります。

日本でも2016年夏に、三浦春馬さんと小池徹平さんが主演のミュージカル「キンキー・ブーツ」(日本公演)が行われた事で、タイトルを耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。大阪・東京で全44公演で行われ、あっという間に完売したと聞ききましたが、その人気から、2019年4~5月で再演が決定しているようです。

世界中で愛される本作品の魅力や、あらすじ、見どころなど、観劇前に絶対に知っておいたほうがいい情報を詳細ページにまとめていますので、是非ご覧下さい。

キンキーブーツの会場では開演前から楽しめる

念願のキンキー・ブーツということで、高まる気持ちを抑えつつ、アル・ハーシュフェルド劇場に到着しました。6番街と8番街の間に劇場が多く存在する「シアター・ディストリクト(Theater District)」と呼ばれる劇場街から、珍しくも西に少しズレた場所に位置する劇場ですが、タイムズスクエアが目と鼻の先という事もあり、夜中まで人での多い安全な場所です(隣にストリップバーがあるのは余談ですが…)。

建設から95年近く経過しているこの劇場の風貌にまず見とれてしまうのですが、この劇場では入る前と入った後で、それぞれ見どころがあるので紹介したいと思います。

アル・ハーシュフェルド劇場(Al Hirschfeld Theatre)

アル・ハーシュフェルド劇場(Al Hirschfeld Theatre)
1924年11月11日に建設されたアル・ハーシュフェルド劇場は、元々開業から2003年までマーティン・ベック劇場(Martin Beck Theatre)という名で運営を行っていました。当時から変わらない劇場の外装は、昔の面影を残したまま現在もタイムズスクエアの中心地にそびえ立っています。

住所:302 W 45th St, New York, NY 10036

創業1924年から数々の名作を上演してきた歴史の深いアル・ハーシュフェルド劇場について、以下のページに座席表、建築デザイン、歴史などをまとめております。観劇を考えている方は是非お読みになって下さい。

劇場に入る前の見どころポイント

記念撮影するなら休憩時間の人が少ないタイミングがおすすめ
まずは、入り口の横にある主役ローラの等身大のパネルで記念撮影をしちゃいましょう!混雑している場合が多いのですが、途中休憩時間が空いていて狙い目です。

劇場入り口の右側にある関係者専用入り口の柱には建設者であるマーティンベック氏の名前が掘られており、公演が終わった後、ここからキャストが出てくるので予め場所をチェックしておきましょう。

入り口に付近には各言語で作品の紹介をしているパネルがあり、日本語もばっちり記載されています。ちなみに内容は、なんとも言えない日本語の文章でした。。

必見ポイント!美術館のような気品のある劇場の内装

アル・ハーシュフェルド劇場の内装は、外装からでは全く想像できないほど、気品のある華美な造りで、まるで美術館にいるような感覚に陥ります。

1924年に建築されて以来、大規模な改築を行っていないアル・ハーシュフェルド劇場の見どころは、優雅で重厚な装飾に、劇場全体に設置してある黄金色の巨大アーチ型のドーム式の照明です。このアーチ型のドームは、入り口入ってすぐの天井にある3連ドーム照明、1階オーケストラ席天井のステンドグラス風のドーム照明、そして劇場内で最も巨大な2階メザニン席のドーム照明があります。

ここでしか見れない芸術作品
なので、1階席の人も、わざわざ2階席まで上がって見に行く価値あり!是非見て下さい。

※クリックして画像を拡大

そして、劇場の2階に飾られている劇場名の由来、アル・ハーシュフェルド(Albert Hirschfeld)本人が描いた作品も必見です。すべてが本物だというのだから、美術館さながらの貴重な体験をすることができます。

今回の座席はココでした

今回は、ご招待いただいた上に、こんな良い席ありがとうござます!という感じでした。オーケストラ中央列の通路寄りの3席並び、最高です。着席した時点では、まさかこの「通路側」がこのミュージカルをさらに楽しくしてしまう事になるとは、この時点では思いもしませんでした…。

チケット券面 ORCHR S 6 の見方:

座席ORCHC S 6の場合
Orchestra Right = 1階オーケストラ席 右側サイド
S列(前から17列目)のシート番号6

通路寄りという事もあって、反対の舞台袖までしっかり見れる座席です。ただし、二階席が屋根になっているので、舞台の上の方はちょっと隠れてしまいますが、キンキー・ブーツでは高さを使った演出は特にないので派手な大きな舞台セットの上が少し隠れるくらいで問題なし!

上演前や休憩時間の楽しみ方

グッズがとにかく可愛い!

ミュージカル観劇の醍醐味といえば、舞台だけでなくグッズを見るのも楽しみの1つです。真っ赤なブーツが目印のキンキー・ブーツは、他のミュージカル作品と比べてグッズの種類が豊富で、とっても可愛いのが印象的でした。

劇場正面玄関入ってすぐのグッズ売り場ではTシャツなどをメインに販売
グッズ売り場は劇場内に2箇所あり、正面入口入ってすぐのグッズ売り場は、T-シャツ($25~30)などの衣類が多く、2階のグッズ売り場はキーホルダーなどの小物類をメインに販売しています。ブーツの形をしたキーホルダー($20)やマグカップ($18)はニューヨークの手土産に絶対おすすめです。

お手洗いなどで休憩時間に購入出来なかった方は、公式オンラインストアから注文も可能です。
また、隣接するバーでは、キンキー・ブーツのロゴ入カップでビール($12~)などが購入可能となっています。

席に着く前に舞台セットを間近で見よう

会場の入り口を入ると、舞台上に「PRICE AND SON」の看板が飾れた主人公チャーリー・プリンスの家族が経営する老舗靴屋が私達を出迎えてくれます。

開演前の舞台装飾
劇場によっては自分の座席以外は立ち入れない事があるのですが、アル・ハーシュフェルド劇場の係員は「ちょっと見たいんだけど…」という素振りをするだけで、「Go Ahead!(どうぞ!)」と言ってくれる優しい人達でした。

という事で、1階席の最前列から見るとどんな感じなのかチェックしてみましたが、なるほど、ここの劇場の舞台はなかなかの高さがあるので、最前列だと首が痛くなりそう、と正直思いました。舞台下には、ミュージカルを支えるオーケストラの方たちがスタンバイしており、なかなか体験することのできない貴重な場面を見ることができました。

観劇後の楽しみ方!キャストの出待ちを初体験

キンキー・ブーツのキャストは全員が神対応だった!

ミュージカルは、舞台が終了しても終わりではありません!観劇後にキャストを出待ちして、目の前でキャストと話したり、サインできるところもミュージカルの良さの一つなんです。キンキー・ブーツの出待ちポイントは、冒頭で説明をした関係者専用入り口です。ここから舞台終了後、キャストや関係者が続々とでてくるので、観劇終了後すぐに劇場を出て自分のポジションをゲットしましょう。

今ままでいくつかの作品で出待ち経験をしたことがありますが、トップレベルを争うほど、キンキー・ブーツのキャストの対応は素晴らしく良かったです。長時間の演技で疲れているにも関わらず、ブロードウェイ・ミュージカルの俳優さんは、めちゃくちゃ気さくで、普通に話をしてくれます。もちろん、混雑状況にもよりますが、だいたい一人一人に声をかけて、写真も一緒に撮ってサインもくれます。ミュージカルの感想を言ったらそれに返事もしてくれます。キンキー・ブーツのキャストはまさにこの良い例で、「友達とテレビ電話つないでるから、話しかけて!」と言ってスマホを向けたり、スマホを自分で取り上げてセルフィー撮影したり、インスタでその場でストーリー流したり、おいおい、そこまで!という神対応でした。

約1時間ほど粘った結果、ドラッグクイーンのローラ役のハリソン・ギー(J. Harrison Ghee)、現在期間限定でチャーリー役を務めるデヴィッド・クック(David Cook)、笑いをそそる演技で一際目立っていたローレン役のキャリー・ルイス(Carrie St. Louis)などなど、豪華キャスト陣のサインと写真を取ることに成功しました。ミュージカルならではのこの体験を是非経験してみて下さい。

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一番キレキレのエンジェルズ ジョン・ジェフリー・マーティンに注目

ドラッグクイーンのリチャード役のジョン・ジェフリー・マーティン
出待ち早々に登場した高身長で綺麗な顔立ちをしたこちらの俳優は、多くのファンからサインを求められていましたが、実際最初に見た時はどの役のキャストか全く分かりませんでした。

実は出待ちにはよくあることで、舞台上での化粧や衣装が派手なため主役以外はどの役人か分からないことがあります。すぐに手に持っていたPlay Billのキャスト紹介から彼を探し、ローラ率いる6人のドラッグクイーン「エンジェルズ(Angels)」のリチャード役ジョン・ジェフリー・マーティン(John Jeffrey Martin)ということが判明しました。
劇中の楽曲「The Sex is in the Heel」で大胆な演技を魅せるリチャード役ジョン・ジェフリー・マーティン
高身長でスタイル抜群&イケメンのJohnは、実は2013年の公演開始当初からずっとドラッグクイーンのリチャード役を務めており、トニー賞でミュージカル作品賞を受賞した時の受賞披露公演にも出演しているベテラン俳優です。

劇中の楽曲「The Sex is in the Heel」では、6人のドラッグクイーンの中でも一際目立っており、曲の中の彼の「蹴り上げ&股割り」は観客が湧くお決まりポイントとなっています。主役だけでなく、キンキー・ブーツの舞台を作り上げるサブキャストに出会えるのも出待ちの良いところです。

お腹が空いたら名物バーガー「Shake Shack」へ

観劇後は大人気のハンバーガー屋さんシェイク・シャック(Shake Shack)
観劇前に夕食を取っていなかったこともあり、出待ちで体力を使いお腹はペコペコに。アル・ハーシュフェルド劇場から徒歩2分の距離に、夜中0時まで営業をしている人気のハンバーガー屋シェイク・シャック(Shake Shack)があります。

この時間のハンバーガーはダメだろう…と思いながらも、我々お決まりのシュルームバーガー(大きなマッシュルームとチーズ入り)と、アーノルドパーマー(アイスティーとレモネードを半分ずつ混ぜたドリンク)をぺろりと平らげました。実は、常に長蛇の列が出来る人気のシェイク・シャックですが、閉店間近の時間は人が少なく並ばずに購入できる上に、席にも座ることができるので絶好の時間帯です。

キンキー・ブーツ観劇後の感想まとめ

ストーリーや曲を知らなくても楽しめる理由が分かった

このミュージカルは、他のミュージカルよりも、表情の付け方や身振り手振りの動作が良い意味で大げさたと思いました。錆びれた靴工場がドラッグクイーンと出会うこと男性でも履けるブーツを作る事にチャレンジする、という非常に簡単なストーリーに、この分かりやすい演技が加わると英語のセリフが全く気になりません。

さらに、なんといっても歌手シンディーローパーが手掛けたアップテンポな楽曲は、初めて聴いたとしても、2回目のサビあたりで勝手に体が動いてしまうほどキャッチーで、何と言っても日本人が聞きやすいメロディとなっています。「良い曲」というと、歌詞が良い、メロディが良い、などいろいろあるかと思いますが、そんな事を感じる前に、目の前のオネエ達がとんでもない強烈なダンス・パフォーマンスをしてくれるので、子供が初めてサーカスを見た時のと同じような感動が味わえました!(笑)

ということで、「英語が分からないから王道のディズニーブロードウェイ(アラジンやライオンキング)を見るしかないか…。」と思っている人には、ちょっと待った!と、是非おすすめしたい作品です。

キレキレのダンスを見たいなら絶対にキンキー・ブーツを見るべき

ズバリ、「The Sex is in the Heel」という曲に注目です。主人公ローラがメインとなって歌うシーンですが、曲の乗りやすさはもちろんのこと、ここで魅せてくれるドラッグクイーンのグループ「エンジェルズ(Angels)」の踊りに注目です。

劇中の楽曲「The Sex is in the Heel」を披露しているローラとドラッグクイーン「Angels」
舞台前半では、オカマちゃんならではの女性的な動きでエンジェルズのメンバーそれぞれが好きな踊りをしている場面が多いのですが、身長190cm以上あるドラッグクイーン全員が揃ってキレッキレのあるダンスを魅せてくれるので、その迫力さに圧倒されます。

また、舞台側と観客側で叫び合って一緒にノリノリになってしまう楽曲「Everybody Say Yeah」では、お客さんという事を忘れてみんなと一緒に「Yeah(イエ~イ)」と叫んじゃいましょう!

差別や人種を超えた人間物語を見ることができた

一見、ブロードウェイ・ミュージカルにありがちの単純明快な復活劇を語るだけのストーリーと思われがちなのですが、実は奥深い要素がいくつか盛り込まれていました。

主人公2人は、小さい頃から親のプレッシャーの中で生きてきた背景があり、チャーリーは家業を継ぐ事に反発するも、父の急逝により継がざるを得なくなるけど、いざやってみると全然うまくいかない…。ローラは小さい頃から女性物の服や靴に興味があったけど、当時のイギリスでそんな性同一性障害をあからさまにする事もできず、一人で育ててくれた父親にも絶縁された上でドラッグ・クイーンの道を選んだ過去があったり…。

物語の後半で大きく行き詰まって、チャーリーとフィアンセの関係がボロボロになった所で、ローラともぶつかり合うシーンがあるのですが、なかなか他のミュージカルではないくらいの本気の喧嘩シーンでした。心のどこかでやはりドラァグクイーンを理解しきれていないチャーリーの気持ちがいろんな面から爆発して、ローラにこれでもかという程に罵声を浴びせてるシーンでは、完全に会場が静まり返りました。さっきまでの明るい曲は何だったんだ!?と思わんばかりに、完全な底辺まで落ち込みました。舞台上のキャストも、客席側も、つばを飲み込む音が聞こえそうなくらいの静けさの中で、物語が動き出した時に、自分は「このレベルの緩急で演出してくれるのか…」と唸ってしまいました。

ここで途中休憩などを挟んでしまうと、一気に現実に引き戻されたりしますが、この極限状態からの復活劇は、全て後半の1時間に詰まっており、これもとんでもない仕掛けだと思いました。熱したものが覚める事なく、最後のフィナーレまで加速しっぱなしでキンキー・ブーツは観客を惹きつけてくれる作品だと思います。

最後はもちろんスタンディングオベーション!
キンキー・ブーツは、差別や偏見を超えてお互いに分かち合う人間物語を表現している作品だと思います。全く異なる2人、チャーリーとドラァグクイーンのローラが、自分自身を見つめ直し、自分と異なる他人を受け入れ、新しい考え方を持つ。本作品の舞台である1900年代前半には、ドラッグクイーンの存在は現在ほど浸透しておらず、偏見もあったはずです。

しかし、そんな自分とは違った考え方を受け入れることで新しい世界を開くことができる、「受け入れることの大切さ」を気付かせてくれる、そんな心に残る作品でした。楽しく面白く沢山笑えて、かつ人間としての生き方を考えさせられるミュージカルはこの作品だけだと思います。

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