Palace Theatre パレス劇場の詳細

タイムズスクエアのど真ん中に立地するブロードウェイの劇場。古くよりニューヨークのエンターテイメントの中心として活躍した。

ブロードウェイミュージカルのパレス劇場

パレス劇場の基本情報

パレス劇場(Palace Theatre)の最寄駅、座席表などの基本情報です。

住所 :1564 Broadway, New York, NY 10036(地図
7番街沿い、46ストリートと47ストリートの間
創設 :1913年3月24日
収容人数 :1,743人
座席表 :※クリックして拡大できます
パレス劇場の座席表

パレス劇場の行き方・アクセス

パレス劇場への行き方は、ニューヨーク公共地下鉄(MTA)を利用するのが一般的です。
公演時間が近づくと劇場周辺は大変混み合いますので、地下鉄で行かれる方も、タクシーで行かれる方も時間に余裕を持ってお出かけください。

地下鉄の最寄駅 :

N R W 路線の「49st」駅から徒歩3分ほど

パレス劇場の地図

以下は、パレス劇場(Palace Theatre)の地図です。

パレス劇場の歴史

ボードビルの劇場として誕生

パレス劇場(Palace Theatre)は、1913年、サンフランシスコに拠点を置いていた劇団プロデューサーのマーティン・ベック(Martin Beck)が、当時東海岸のボードビル事業を独占していたキース・アルビー・オルフェウム(Keith-Albee-Orpheum Corporation)に対抗しようと創設しました。ブロードウェイの劇場の中でも初期の頃から存在している劇場になります。

パレス劇場を建設したは良いものの、当時流行していた「ボードビル」を公演するためには、キース・アルビーが独占している独自の興行ネットワークが必要であったため、ベックはパレス劇場の所有権の4分の3を彼らに譲る代わりにその独自ネットワークの使用許可を得ました。

この為、実質劇場のオーナーはキース・アルビー・オルフェウムとなり、ベックは劇場の作品の予約などを担当することになりました。

ボードビルとは

「ボードビル」とは フランス語の「vaudeville」が語源となっており、17世紀末にパリに出現した演劇形式です。米国においては舞台での踊り、歌、手品、漫才などのショー・ビジネスを意味します。

パレス劇場に出演する事が最高のステータスだったボードビル時代

開業初公演にて当時コメディアンとして有名だったエド・ウィン(Ed Wynn)を主役に起用するも、最初の数ヶ月は赤字続きを経験する事になりましたが、徐々にボードビル劇場として知名度を上げ、ついにはパレス劇場に出演する事が当時の夢見る演者にとって憧れの的となりました。

劇場のオーナーであったアルビー氏は、役者をパレス劇場に出演させてあげる代わりに、出演料の金額を下げる交渉をした事があると言われるほど、この「プレミア劇場」とまで呼ばれた場所で出演する事が成功への第一歩として認識されていました。

世界大恐慌での転落と復活

そんなプレミア劇場として注目を浴びていたパレス劇場ですが、輝かしい時代はそう長くは続かず、1929年の世界恐慌により苦しい時代を迎えてしまいます。人々はボードビルに興味を持たなくなり、ラジオや映画などの新しいメディアの普及が影響した結果、1932年にパレス劇場は映画館へと転じ「RKO・パレス(RKO Palace)」と改名しました。

時々ショービジネス復活のために公演を試みましたが、劇場復活までには至りませんでした。 1965年、デトロイトやシカゴを中心にミュージカルや演劇の劇場を所有するネダーランダー家のジェームズ・ネダーランダー(James Nederlander)が、パレス劇場に目を付けて購入し、多額の費用をかけて建設当初のオリジナルの真紅と金色を基調とした内装にて劇場内全体を修復しました。

この大工事の後、パレス劇場は アカデミー主演女優賞を受賞したシャーリー・マクレーン(Shirley MacLaine)、ポップシンガーのエディー・フィッシャー(Eddie Fisher)やダイアナ・ロス(Diana Ross)など有名歌手のライブで使用された事もあり、徐々に劇場として再注目され始めます。

また、「スイート・チャリティー(Sweet Charity)」というオリジナル作品の公演で運営を再開し、再度ミュージカル劇場として動き始めました。
1983年から1987年にかけてのロングラン公演作品「Mr.レディMr.マダム」の公演、1994年からは5年間以上も続いたディズニー・ブロードウェイの人気作品「美女と野獣」、トニー賞を受賞した「アイーダ」は2000年から2004年の間に合計1,852公演を行うなど、徐々に劇場としての輝きを取り戻していき、公演作品の予約が立て続けに埋まるような人気劇場にまで復活しました。

タイムズ・スクエアと共に進化しているパレス劇場

Times Square(タイムズ・スクエア)のど真ん中に位置するパレス劇場は、タイムズ・スクエアの発展と共に進化してきた劇場です。1980年代後半になると、劇場の上にホテルが建てられました。NY市長ジュリアーニ氏による治安改善活動が1994年から始まると、タイムズ・スクエアは一気にニューヨーク観光の代名詞となりました。

劇場入口はブロードウェイの看板で囲まれており、正面を見上げれば眩しいばかりの電光掲示板が24時間光り輝いて、25年前までスラム寸前だった場所とは思えない場所となっています。さらに2018年初旬から始まった大規模な改装工事(総工費:約2500億円)では、47丁目側に新しい玄関を追加し、劇場の高さも10メートル近く持ち上がるという事で、まだまだ進化が止まない劇場だと言えます。

キース・アルビー・オルフェウム社について

多くのボードビル劇場や映画館を運営した

パレス劇場のボードビル興行を支配していたキース・アルビー・オルフェウム社(Keith-Albee-Orpheum社)とは、ボードビル劇場の所有者 ベンジャミン・フランクリン・キース(Benjamin Franklin Keith)とボードビルの興行主であるエドワード・フランクリン・アルビー2世(Edward Franklin Albee II)によって、1928年1月28日にデラウェア州で設立されました。

Keith-Albee-Orpheum社は米国とカナダにおいてボードビル劇場と映画館700以上を所有、運営していました。ちなみに、ボードビルを広範囲において独占していた彼らは合計15,000人の役者たちをキャスティングしてきた、と言われています。

ベンジャミン・フランクリン・キースについて

エドワード・フランクリン・アルビー2世(Edward Franklin Albee II) とパートナーであったベンジャミン・フランクリン・キース(Benjamin Franklin Keith)は、1846年にニューハンプシャー州に生まれ、17歳の時に観劇したサーカス団に興味を持ち、1880年代初頭までサーカス事業に携わっていました。

本格的にボードビル事業者としての始まりは、1885年にボストンにあるビジュー劇場でエドワード・フランクリン・アルビー2世(Edward Franklin Albee II)と共に運営を開始し、毎日朝の10時から夜の11時までバラエティに富んだショーを行いました。

このボードビル事業は見事成功し、2人はニューヨーク、フィラデルフィアとボストンに更に劇場を作り、その後アメリカの東と中西部の小さな劇場も買い取っていきどんどん勢力を拡大していきました。

ボードビル衰退後のキース・アルビー・オルフェウム社のその後

ボードビルの衰退により、Keith-Albee-Orpheum社はラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(RCA)に買収された後に、映画スタジオだったフィルム・ブッキング・オフィス(FBO)と合併され、ラジオ・キース・オルフェウム(RKO Pictures)に生まれ変わります。

映画スタジオや独自の映画配給ネットワークを所有していたRKOは、スタジオ・システム成立の一翼を担い、映画産業を独占していました。ちなみに名前の後ろに「Radio Pictures」が付くのは、当時全米の一大ラジオ網を支配していたRCAが影響しており、合併当時RKO Picturesの株式を66%所有していました。

その結果、この会社は映画だけでなくラジオ、そして後にテレビという、主要メディアをほぼ全て支配する事になります。

100以上のお化けが出没していると噂されているパレス劇場

ブロードウェイ劇場において幽霊やおばけが出ることは珍しいことではないですが、パレス劇場もその内の一つになります。

人気がなくなった劇場内に謎のチェロ演奏者がオーケストラ席に現れたり、悲しい顔をしている小さな女の子がバルコニー席から会場を見下ろしていたり、茶色のスーツを着た男性がオフィス前を素早く通ったり、メザニン席付近の地面でトラックの玩具で遊ぶ少年がいたり、あの「オズの魔法使」で一躍ブレイクしたジュディ・ガーランドがオーケストラ席後方に現れたりなど、その証言は100以上にもおよびます。

1935年8月28日の演奏中に18フィート(5.4メートル)の高さを落ちて首に怪我を負ったと言われているアクロバットのルイス・ボルサリノの幽霊も劇場に出没すると有名で、劇場が空のときにその幽霊が垂木から跳び移る姿が目撃されています。

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