こんにちは、スタッフ栗田です。今回、スタッフ4名と「ウィキッド」を観劇してきました。
日本の劇団四季でも上演され、有名になった本作品は、「オズの魔法使いのエピソード0」と評される友情物語。ブロードウェイ版は、キャスト達の迫真の演技と歌声が圧倒的です。このレポートでは、ブロードウェイに来たらぜひ観るべき名作「ウィキッド」のリアルな感想をお伝えします。これから観る方も、そして既に観劇をされた方にも、ウィキッドの計り知れない魅力が伝われば幸いです。
ガーシュウィン劇場の見どころポイント
ウィキッドが上演されている劇場、ガーシュウィン劇場の劇場内の様子をレポートします。
① ウィキッドカラー1色
ウィキッドの公演が始まる際に、大規模な劇場の改装工事が行われ、舞台セットだけでも十億単位の費用が使われました。 その大規模な改修工事の結果、ガーシュイン劇場の至るところにもウィキッドの世界観が散りばめられています。 作品中に登場する街の絵や地図が、壁の至るところに描かれています。見逃しがちな1階劇場入り口の左側にある「ドラゴン時計の前」ではぜひとも写真撮影をしてください。
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② アメリカン・シアター殿堂(American Theater Hall of Fame)
玄関から入った正面に、大きな林檎のモニュメントがあります。これは、アメリカン・シアター殿堂(American Theater Hall of Fame)のモニュメントです。日本ではあまり有名ではありませんが、これはアメリカ演劇関係者の中でも、一握りの人間しか名を連ねる事が出来ない大変名誉なものです。 ガーシュイン劇場には、このアメリカン・シアター殿堂所があり、館内の至るところに、演劇界のいわゆるレジェンドの写真や、貴重な昔の衣装などが設置されています。こちらもぜひチェックしてみて下さい。
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③ WICKED公式グッズ売り場
Tシャツ($30~)、パーカー($65~)などの洋服を中心に、靴下($20)、マグカップ($20~)、水筒($40)などの小物まで、多種類のグッズが揃っていました。緑色に染まったステージを堪能した後には、緑色の公式グッズにときめいてしまうはず!
また、アナと雪の女王(Frozen)の「Let it Go」で有名なイディナ・メンゼル(Idina Menzel)など初演のキャストによる劇中歌が収録されたサウンドトラック($28)もここで購入出来ます。このアルバムはグラミー賞の最優秀ミュージカル・ショー・アルバム賞を受賞し、ミュージカルアルバムとしては異例のプラチナセールスを記録した名盤です。
今回の座席はココでした
チケット券面の見方:FMEZZ C 7 の場合
C列(前から3列目)のシート番号7
今回は中央より少し左側からステージを見下ろす感じになりました。ガーシュイン劇場は、2階席の位置が高く、少しステージとの距離を感じましたが、その分ステージ全体の演出や仕掛けがよく見えたのはメザニン席ならではだと思います。また、演者同士が被っていたり、前のお客さんの頭が視界に入る、などといった問題は全くなく、ストレスフリーな観劇でした。
ウィキッド出演者を出待ちした結果
「ウィキッドのメインキャストはなかなか出待ちの列に会いに来てくれない」という噂は聞いておりましたが、少しの可能性を信じて待機することおよそ15分。
エルファバの妹役のキャストが出てきてサインをしてくれたものの、間もなく係員が「今日はこれでおしまい!キャストはもう出てこないよ」とアナウンス…。残念ながらその日は他のメインキャストの顔を見ることなく解散となりました。出てくる、出てこないは日によって変わるそうなので、ドキドキを味わいたい人はぜひ出待ちに挑戦してみてください!
ブロードウェイ「ウィキッド」観劇の感想
西の魔女と南の魔女:悪い魔女と良い魔女
ウィキッドの主役は、オズの魔法使いに出てくる「西の悪い魔女(エルファバ)」と「南の良い魔女(グリンダ)」です。
しかし、内容は「良い魔女と悪い魔女」という対峙ではなく、良い面も弱い面も持っている2人がいろんな事情に巻き込まれる中でそれぞれが成長し、幸せを探していく、という構図となっています。
そして、物語が進むにつれて全くイメージとは違った印象を受けるはず。私達の生活の中でも、中身を見る(知る)前に、その人の第一印象や、周りの影響で「この人は悪い人」と決めつけてしまう事があるのを改めて気づいたりしました。
そんな深いテーマもありながら、2人の友情を育む姿や、エルファバの強い意志を感じる歌、どこまでも明るく天真爛漫なグリンダの姿は明るさそのもので、笑いが起きるシーンも多く、間違いなく元気と勇気をもらえる観劇でした。
ウィキッドと人種差別問題
アメリカでは「人種差別問題」について、ニュースに取り上げられたりする事が未だに多くあります。過半数は黒人に対する言動が話題となりますが、肌の色が異なるエルファバも同じような境遇にあるように思えました。
2人のラストのシーンで歌われる曲「ForGood」で、「2人が出会えたことで永遠に生まれ変われた」と聞こえはとてもハッピーエンドな歌なのですが、エルファバは「物語はグリンダが書き換えてくれる」とも歌っています。「2人の友情物語」という簡単な言葉でまとめられない背景には、差別による悲しみ、辛さ、また、ある種のあきらめの感情が感じられたからだと思います。
グリンダとエルファバから見えてくる「人と関わる事」の難しさ
3人で旅行の計画中。2人がパリに行くと言っている中で、あなたはNYに行きたかったらどうしますか?
パリに行ったら、みんなには嫌われないけど、自分の行きたいところには行けない。逆にNYに行ったら、自分の行きたいところには行けるけど、周りからの反感を買う。
本作品の結末を思うと、自分の意見が違うと、他人と関わる事ではどうやっても上手くいかないと思えてなりませんでした。
他人と関わる中でいつも付きまとう、この「自分」か「他人」か問題については、この物語のように、上手く折り合いが付かないと考える人も多いはずです。
自分と違う意見を持つ他人と関わっても上手くは行かない。つまり「他人と関わっても意味がない」本作品の結末を思うと、そんな極端な事まで考えてしまいました。
For good という曲
グリンダとエルファバの別れのシーンで歌われる「For Good」という楽曲は、人の醜さ、裏切り、感情の空回りなど様々なことを経験した2人が、人と関わることの意義をお互いに確かめ合う曲です。
歌詞を要約すると「人との関わりは不可抗力的に自分を変えてしまう。けれども、私はその関わりによって、自分が良く変わったと信じている」というものです。
「I have changed for the better(私はより良く変わった)」と歌われてはいますが、「Defying Gravity」を絶唱しながら、世界のルールに逆らって飛び立った女の子は、本当にそう思っているのでしょうか。人と関わる事によって、自分では変えることの出来ない力に屈してしまった、そんな悲しい歌にも聞こえました。彼女たちは人との関わりによって、本当により良く、幸せになれたのでしょうか。
ウィキッドが伝えたい事とは?
観劇前、本作品のキャッチコピーは「友情」や「魔法」という言葉が出てくるので、もっと簡単な気持ちで見れる物語だと思っていました。しかし実際は、家族、差別、友情、恋愛などが複雑に絡み合う、一言では決して言い表せない、深みのある作品でした。
そして、実際の世界で正論はあっても絶対的な正解がないように、この物語の中でも、「誰が良い悪い」、「何が正しい間違っている」の答えはないように思えました。
自分が学生の時に観ていたら、きっと今と違うことを感じていた気がします。社会に出ていろんな人と出会い、さらに経験を重ねた後に観るウィキッドからも、今とは違うことを思うかも知れない・・
ウィキッド(Wicked)が本当に伝えたい事を受け取るには、まだまだ何度も劇場に通わないと行けないのかもしれません。
また、前回の観劇レポートではおすすめの席や別のスタッフによる感想を書いております。まだ読まれていない方は、前回の観劇レポートも是非読んでみて下さい。
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